前回は、ストレスチェック制度の実施のための体制づくりについて解説しました。今回は、まず、ストレスチェック調査票を作成についてみていしましょう。
使用する調査票は、以下の3つの事項に関する質問が含まれていれば特に指定はありません。何を使えばよいかわからない場合には、職業性ストレス簡易調査票の使用が推奨されています。
- ストレスの原因に関する質問項目
- ストレスによる心身の自覚症状に関する質問項目
- 労働者に対する周囲のサポートに関する質問項目
ITシステムを利用して、オンラインで実施することもできます。厚生労働省がストレスチェック実施プログラムを無料で配布していますので、利用する場合は検索してみてください。
調査票が作成できたら、労働者に調査票を配布して、記入してもらいます。労働者がストレスチェックを受けることは義務ではありませんが、メンタルヘルス不調となることを未然に防止するためには、全ての労働者がストレスチェックを受けることが望ましいとされています。
なお、一般健康診断で精神面の症状に関する問診を行ったことを持って、ストレスチェックに替えることはできません。また、ストレスチェックは健康診断から除くこととされたため、健康診断の問診の中で、法に基づくストレスチェックをそのまま実施することはできません。
次に、記入が済んだ調査票を回収します。回収は実施者または実施事務従事者が行います。第三者や人事権を持つ職員が、記入・入力の終わった調査票の内容を閲覧することはできません。また、回収の際は、記入の終わった調査票が周囲の者の目に触れないよう、封筒に入れて封をしてもらうなどの配慮が必要です。
回収した質問票をもとに、ストレスの程度を評価します。ストレスチェック結果の評価方法、基準は、実施者の提案・助言、衛生委員会における調査審議を経て、事業者が決定します。
主に労働者個人レベルのストレス評価をおこなうための職業性ストレス簡易調査票の評価や判定には、、①簡易採点法 と ②標準化得点を用いた採点法があります。
簡易採点法は、主に個人レベルのストレスを、簡便に評価することを目的としています。
具体的な方法は、以下の通りです。
- 調査票に対する各項目の回答を、4段階のより好ましくないほうの2つ(例:A1 非常にたくさんの仕事をしなければならない に対して1:そうだ、2:まあそうだ)と好ましいほうの2つ(例:A1 非常にたくさんの仕事をしなければならない に対して 3:ややちがう、4:ちがう)に2分割します。
- 好ましくない回答をした項目(資料1では、グレーになっている部分)の数を枠で囲まれた尺度ごとに数え、その数が指定の数以上であればストレス状態にあることが疑われると判断されます。
この方法では、まずストレス反応(B)について枠の中に入る回答の数を調べ、心理的ストレス反応、身体的ストレス反応が要チェックか否か調べます。要チェックの場合は、仕事のストレス要因(A)や修飾要因(C)についても要チェックか否か調べ、高ストレス状態が仕事のストレス要因と関連があるのか、等について探っていきます

この方法は、コンピュータ等の機器を用いる必要がないため、短時間での評価が可能です。したがって、比較的時間の余裕が少ない健康診断や健康相談の際に、この方法を用いて、産業医や保健師が面談の補助資料として活用できます。特に、この簡易採点法で、仕事のストレス要因(A)に3つ以上要チェックがついた場合や、「仕事の負担度」、「仕事のコントロール度」と(C)「職場の支援」の3つが要チェックになっている場合は、ストレス問題が高い確率で疑われますので、注意が必要です。

参考リンク
ストレスチェック等の職場におけるメンタルヘルス対策・過重労働対策等(厚生労働省HP)