フリーランス・事業者間取引適正化等法案が国会に提出されました。今回はこの法律の概要をみていきましょう。

本法案は、個人が事業者として受託した業務に安定的に従事することができる環境を整備するため、特定受託事業者に係る取引の適正化及び特定受託業務従事者の就業環境の整備を図り、もって国民経済の健全な発展に寄与することを目的とするもので、その柱の一つは、特定受託事業者(業務委託の相手方である事業者であって従業員を使用しないものをいいます)に係る取引の適正化を図ることです。

具体的には、①特定受託事業者に対し業務委託をした場合は、特定受託事業者の給付の内容、報酬の額等を書面又は電磁的方法により明示しなければならないこと、②特定受託事業者の給付を受領した日から60日以内の報酬支払期日を設定し、支払わなければならないこと(再委託の場合には、発注元から支払いを受ける期日から30日以内)、③特定受託事業者との業務委託に関し、次の1〜5の行為をしてはならないものとし、6・7の行為によって特定受託事業者の利益を不当に害してはならないこととされています。

  1. 特定受託事業者の責めに帰すべき事由なく受領を拒否すること
  2. 特定受託事業者の責めに帰すべき事由なく報酬を減額すること
  3. 特定受託事業者の責めに帰すべき事由なく返品を行うこと
  4. 通常相場に比べ著しく低い報酬の額を不当に定めること
  5. 正当な理由なく自己の指定する物の購入・役務の利用を強制すること
  6. 自己のために金銭、役務その他の経済上の利益を提供させること
  7. 特定受託事業者の責めに帰すべき事由なく内容を変更させ、又はやり直させること

また、本法案の2つ目の柱として、特定受託業務従事者の就業環境の整備を図るための次の内容が定められています。

  1. 広告等により募集情報を提供するときは、虚偽の表示等をしてはならず、正確かつ最新の内容に保たなければならないこと
  2. 特定受託事業者が育児介護等と両立して継続的業務委託に係る業務を行えるよう、申出に応じて必要な配慮をしなければならないこと
  3. 特定受託業務従事者に対するハラスメント行為に係る相談対応等必要な体制整備等の措置を講じなければならないこと
  4. 継続的業務委託を中途解除する場合等には、原則として、中途解除日等の30日前までに特定受託事業者に対し予告しなければならないこと

上記の内容に違反した場合、公正取引委員会、中小企業庁長官または厚生労働大臣は、特定業務委託事業者等に対し、違反行為について助言、指導、報告徴収・立入検査、勧告、公表、命令をすることができるものとされており、命令違反および検査拒否等に対しは、50万円以下の罰金に処するものとされました。この罰則には法人両罰規定があります。

この法律は、公布の日から起算して1年6月を超えない範囲内において政令で定める日とされているので、施行は少し先とみられますが、いわゆるフリーランス等を活用している企業の担当者は、法令の概要は知っておくべきでしょう。

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参考リンク

第211回 通常国会(内閣官房HP)