内閣府が「就職氷河期世代の就業等の実態や意識に関する調査」の結果を公表しました。本調査は、インターネットによる定量調査とオンラインでの個別ヒアリングによる定性調査の2本立てです。

そのなかで、はじめに2018年に導入された無期転換ルールがなかなか広まらないといわれるなかで、その理由を考えるうえで「無期雇用の意向度」についてみてみましょう。

まず、就職・転職・就業形態の変更に際し、無期雇用の意向度について、全体の57.0%が『希望する』、9.9%が『希望しない』となっていました。このように無期雇用については半数以上が希望している実態があることがわかりました。したがって、無期転換権を行使しないことについては、申出をしづらいとかそもそも制度を知らないなどの理由があることが考えられます。

次に、不本意非正規雇用労働者の62.7%が無期雇用を『希望する』と回答し、全体と比較して無期雇用の意向度がやや高く、若い年齢層ほど、その割合は低い傾向がありました。一方、不本意でない非正規雇用労働者・失業者・無業者では『希望する』は51.1%となっており、他の就業形態と比較して低い傾向がみられました。

不本意非正規雇用労働者の半数超が雇用期間に定めがあり、無期雇用は約3人に1人の割合であり、不本意非正規雇用労働者の就業実態として、雇用の安定性に不安を感じているといえるでしょう。

また、不本意非正規雇用労働者の約95%が年収400万円未満となっており、特に25~34歳及び35~44歳では、半数程度が200万円未満となっています。また、正規雇用労働者では35歳~44歳になると400万円以上600万円未満が32.8%、600万円以上800万円未満も16.6%になり、両方を合わせるとおよそ50%になりますが、不本意非正規雇用労働者では35歳~44歳でも400万円以上の年収になるのはごくわずかです。このように、年齢を追うごとに正規雇用と非正規雇用の間の賃金格差は広がっており、このような傾向は従来と変わっていないのが現状です。

このように不安定な雇用や収入の低さから、不本意非正規雇用労働者では、仕事全般や生活に対して満足度が相対的に低いという結果になるのもやむを得ないものと思われます。このまま非正規雇用の氷河期世代の高齢化が進むと、将来的には十分な年金もなく非常に厳しい状況になる可能性がありますので、これまで以上の支援策が必要といえるでしょう。

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参考リンク

就職氷河期世代の就業等の実態や意識に関する調査(内閣府HP)