中央労働委員会が賃金事情等総合調査の結果概要を公開しました。本調査は、中央労働委員会が労働争議の解決に向けて行うあっせん、調停等の参考として利用するための情報を収集することを主目的として、昭和 27 年以降毎年実施しているものです。
なお、本調査対象企業は、原則として次に該当する企業の中から独自に選定した380社とされており、主に大規模の企業が調査対象になっていることは念頭に置く必要があります。
- 資本金 5億円以上
- 労働者 1,000人以上
調査産業計の令和6年6月分の平均所定内賃金は 403.9 千円、平均所定外賃金は68.1 千円、製造業ではそれぞれ398.9千円、66.0千円となっています。
では、賃金改定の状況はどのようになっているのでしょうか。
基本給部分の賃金表がある企業148社(集計162社の91.4%)のうち、令和5年7月から令和6年6月までの1年間で賃金改定があったのは133社(賃金表がある148社の89.9%)で、ベースアップを実施した企業は132社(同148社の89.2%)、ベースダウンを実施した企業はなく、賃金を据え置いた企業は14社(同148社の9.5%)となっていう結果でした。このうち、製造業では85社(集計93社の91.4%)で、賃金改定があったのは80社(賃金表がある85社の94.1%)、同期間にベースアップを実施した企業は79社(同85社の92.9%)、ベースダウンを実施した企業はなく、賃金を据え置いた企業は5社(同85 社の5.9%)でした。
このように、本調査対象の約9割の企業でベースアップが行われたことがわかりました。
同期間における定期昇給の実施状況をみると、調査対象となった企業の全てで定期昇給が実施されました。昇給額については、昨年と同額とする企業が調査産業計で71社(定期昇給を実施した143社の49.7%)、製造業で37社(同83社の44.6%)、昨年比で増額がそれぞれ55社(同143社の38.5%)、35社(同83社の42.2%)でした。したがって、約9割の企業で昨年以上の昇給が行われたことになります。
令和5年7月から令和6年6月までの1年間の労働者一人平均の賃金改定額(率)(昇給分+ベースアップ分)をみると、調査産業計では17,505円、率で5.37%、製造業では18,399円、率で5.55%でした。「ベースアップ分」について回答した企業についてみると、調査産業計では額で13,453円、率で4.02%、製造業では額で13,119円、率で3.95%となっており、大幅なベースアップが行われたことがわかります。

