第65回労働政策審議会雇用環境・均等分科会において、次の育児・介護休業法の改正に向けた報告書(案)が公開されました。すでに審議会で検討されている育児支援については以前触れましたので、今回は「介護離職を防止するための仕事と介護の両立支援制度の周知の強化等」についてみていくことにしましょう。

第1に、家族の介護の必要性の申出をした労働者に対する個別の周知等及び環境整備については、まず、個別の周知及び意向確認として、すでに令和3年改正により新設された育児休業制度の個別周知・意向確認の仕組みを参考に、家族の介護の必要性に直面した労働者が申出をした場合に、事業主が、両立支援制度等に関する情報を個別に周知し、意向を確認することを義務付けることが適当とされました。個別周知及び意向確認の方法は、面談、書面の交付等とすることが適当とされる一方で、両立支援制度等の利用を控えさせるような個別周知及び意向確認は認められない旨、指針で示すこととされました。

また、介護保険の第2号被保険者となる40歳のタイミング等の効果的な時期に、介護に関する両立支援制度の情報を記載した資料等を配布する等の情報提供を一律に行うことを義務付けることが適当とされました。その際には、介護保険制度についても併せて周知することが望ましい旨、指針で示すこととされました。

第2に、介護休業に関して、「介護の体制を構築するために一定期間休業する場合に対応するもの」という介護休業の制度の理解の状況に照らすと、現段階では、介護休業ができる期間や分割回数については、改正を行わないこととされました。

次に介護休暇については、継続して雇用された期間が6か月未満の労働者を労使協定に基づき除外する仕組みは廃止することが適当とされました。

次に、介護期のテレワークについては、フルタイムで働く日を増やすことも可能になる効果が期待される一方で、労働者本人に負担が生じることも想定されることを考慮されるため、選択的措置義務とはせず、努力義務とすることが適当とされました。

上記のほか、介護休業については①子に障害がある場合や医療的ケアを必要とする場合にも、要介護状態の要件を満たせば介護休暇等の制度を利用可能であること等について、周知を強化すること②労働者が両立支援制度の利用申出や利用をしたことを理由として、当該労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならないこととすること等が改正事項に盛り込まれる見込みです。

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参考リンク

第65回労働政策審議会雇用環境・均等分科会(厚生労働省HP)