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働き方改革関連法による改正労働者派遣法により、派遣元事業主は、①「派遣先均等・均衡方式」(派遣先の通常の労働者との均等・均衡待遇の確保)、または②「労使協定方式」(一定の要件を満たす労使協定による待遇の確保)のいずれかの待遇決定方式により派遣労働者の待遇を確保することとされ、令和2年4月1日に施行されました。このうち、②「労使協定方式」については、「同種の業務に従事する一般労働者の賃金」と同等以上であることが要件となっています。

そして、令和3年度に適用される、「同種の業務に従事する一般労働者の賃金の額等」がこの度公表されました。

ところで、局長通達では、「現下の新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴う労働市場への影響等を踏まえた取扱い」として、次のような内容が示されました。

現下の新型コロナウイルス感染症の感染拡大による経済・雇用への影響等がある中で、令和3年度に適用する一般賃金の額について、令和元年又は令和元年度の統計調査等を活用した数値をそのまま適用した場合には、派遣労働者の雇用への影響が懸念される。

令和3年度に適用する一般賃金の額については、派遣労働者の雇用維持・確保の観点から、労使協定締結の当事者である労使が十分に協議できるようにすることが必要である。このため、原則として、本通知の第2の1から3までに定める方法により算出した一般賃金の額・・・を用いることとするが、派遣労働者の雇用維持・確保を図ることを目的として、(2)に定める要件を満たし労使で合意した場合には、4に定める適用日において、令和元年7月8日付け職発 0708 第2号における一般賃金の額(以下(2)及び(3)において「一般賃金の額(令和2年度)」という。)を用いることも可能とする。

(2)に定める要件とは、以下の1から4の全てを満たす場合です。

  1. 派遣労働者の雇用維持・確保を図ることを目的とするものであって、その旨を労使協定に明記していること。
  2. 労使協定を締結した事業所及び当該事業所の特定の職種・地域において、労使協定締結時点で、新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、事業活動を示す指標(職種・地域別)が現に影響を受けており、かつ、当該影響が今後も見込まれるものであること等を具体的に示し、労使で十分に議論を行うこと。例えば、次の3つを用い、議論を行うことが考えられる。
    • 「労使協定を締結した事業所において、労使協定締結時点で、雇用調整助成金の要件(事業活動を示す指標が5%以上減少)を満たしていること」など、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響による事業所全体の事業の縮小状況
    • 特定の職種・地域におけるこれまでの事業活動を示す指標の動向。例えば、以下のものが考えられること。
      • 「労働者派遣契約数が、令和2年1月 24 日以降、継続的に減少していること」
      • 「労働者派遣契約数が、対前年同月比で継続的に減少していること」
      • 「新規の労働者派遣契約数が、対前年同月比で継続的に減少していること
    • 上記の動向を踏まえた令和3年度中の労働者派遣契約数等への影響の見込み
  3. 労使協定に、一般賃金の額(令和2年度)を適用する旨及びその理由を明確に記載していること。
  4. 1の要件に係る派遣労働者の雇用維持・確保を図るために講じる対応策、2の要件に係る事業活動を示す指標の根拠書類及び一般賃金の額(令和2年度)が適用される協定対象派遣労働者数等を、法第23条第1項及び第2項の規定に基づく事業報告書の提出時に併せて、都道府県労働局に提出すること。

このように、この特例を利用するのは、十分な準備期間を設けて対応する必要がありそうです。

お問い合わせはお気軽に。043-245-2288

参考リンク

労使協定方式(労働者派遣法第30条の4)「同種の業務に従事する一般労働者の賃金水準」について(厚生労働省HP)