厚生労働省が、令和6年「賃金引上げ等の実態に関する調査」の結果を公表しました。本調査は、全国の民間企業における賃金の改定額、改定率、改定方法などを明らかにすることを目的に、7月から8月にかけて調査が行われます。調査の対象は、常用労働者100 人以上を雇用する会社組織の民営企業です。
はじめに賃金の改定状況に関して、実施状況別企業割合をみると、「1人平均賃金を引き上げた・引き上げる」企業割合の割合は91.2%(前年89.1%)に上りました。そして、1人平均賃金の改定額(予定を含む。)は11,961円(前年 9,437円)で、改定率は 4.1%(同 3.2%)に上りました。このように、令和6年の賃金引上げは9割以上の企業で実施され、引上げ率も4%を超えました。これは、過去25年を見ても突出した上げ幅となっています。
賃金の改定の決定に当たり最も重視した要素をみると、「企業の業績」の割合が35.2%(前年36.0%)と最も多くなっており、次いで「労働力の確保・定着」が14.3%(同16.1%)、「雇用の維持」が12.8%(同11.6%)となっています。このように、業績次第というところはありますが、採用や離職防止のために賃金を引き上げざるを得ない事情がうかがえます。
さらに、「労働組合あり」の1人平均賃金の改定額(予定を含む。)は、13,668円(前年10,650円)で、改定率は4.5%(同 3.4%)でした。
なお、ここで、「1人平均賃金」とは、所定内賃金(諸手当等を含むが、時間外・休日手当や深夜手当等の 割増手当、慶弔手当等の特別手当を含まない)の1か月1人当たりの平均額をいいます。
次に、賃金の改定を実施したまたは予定している企業および賃金の改定を実施しない企業における定期昇給の状況についてみると、定期昇給を「行った・行う」企業割合の割合は管理職で76.8%(前年71.8%)、一般職で83.4%(同 79.5%)でした。さらに、定期昇給制度がある企業においてベースアップを「行った・行う」と回答した企業の割合は管理職で47.0%(前年43.4%)、一般職で52.1%(同 49.5%)にのぼりました。
このように、令和6年は、賃上げが幅広く行われたことがわかりました。
参考リンク
賃金引上げ等の実態に関する調査:結果の概要(厚生労働省HP)