
厚生労働省は、令和7年4月1日付けで「令和7年度地方労働行政運営方針」を策定しました。
各都道府県労働局においては、この運営方針を踏まえつつ、各局内の管内事情に即した重点課題・対応方針などを盛り込んだ行政運営方針を策定し、計画的な行政運営を図ることとしています。
本方針では、特に厳しく対応する法令違反等については「司法処分も含めて厳正に対処する」というフレーズがつきます。この対象になる行為は、おおむね毎年同じものになります。
- 監督指導、説明会等の各種行政手法を用い、基本的労働条件の枠組みの確立をはじめとする法定労働条件の確保に取り組むとともに、重大・悪質な事案に対しては、司法処分も含め厳正に対処する
- 技能実習生等の外国人労働者については、法違反の疑いがある事業場に対して重点的に監督指導を実施し、重大・悪質な法違反が認められた場合は、司法処分を含め厳正に対処する。
- 特に、技能実習生に対する労働搾取目的の人身取引が疑われる事案については、「人身取引取締りマニュアル」を参考にしつつ、外国人技能実習機構との合同監督・調査や関係機関との連携を着実に実施し、労働基準関係法令違反が認められ、悪質性が認められるもの等については、司法処分を含め厳正に対処する。
- 「労災かくし」の排除を期すため、その防止に向けた周知・啓発を図るとともに、引き続き、労災補償担当部署と監督・安全衛生担当部署間で連携を図りつつ、事案の把握及び調査を行い、「労災かくし」が明らかになった場合には、司法処分を含め厳正に対処する。
このように技能実習生等の外国人労働者関係の重大・悪質な法違反および労災かくしについては、特に注意を要します。
また、「厳正な対処」を行う者としては、雇用関係助成金の不正受給も挙げられており、「審査等に当たり支給決定前の能動的な実地調査を行うなどにより適正支給に努め、不正受給等への厳正な対処を徹底する」とされています。パワーハラスメント、セクシュアルハラスメント等職場におけるハラスメント防止措置を講じていない事業主については、「厳正な指導を実施する」とされていることにも留意してください。
このほか重点的に取り組む施策についてもみていくことにしましょう。
- 最低賃金の履行確保上問題があると考えられる業種等に対して重点的に監督指導等を行う。
- 医療・介護・保育・建設・運輸・警備分野など雇用吸収力の高い分野のマッチング支援
- 65 歳以上の再就職支援
- 就職活動に困難な課題を抱える新規学卒者等の支援
このように、重点的な取組としては、最低賃金の履行確保と求人・求職双方の支援に重点が置かれる方針です。
