世界の労働基準監督署からVOL007:木更津労働基準監督署

前回の記事で紹介したように、兼業・副業を行う労働者に関する労災保険の改正法が2020年9月1日から施行されました。今回は、業務上の負荷の評価に関する部分についてみていくことにしましょう。

改正前は、労災認定の判断にあたっては、1つの事業場のみの業務上の負荷(労働時間やストレス等)を評価していました。それが、今回の改正によって、1つの事業場のみでは労災認定されない場合は、複数の事業場の業務上の負荷を総合的に評価して、労災認定の判断をするようになります。これにより、新しく支給事由となるこの災害を「複数業務要因災害」といいます。なお、対象となる傷病等は、脳・心臓疾患や精神障害などです。

なお、1つの事業場のみの業務上の負荷を評価するだけで労災認定の判断ができる場合は、これまでどおり「業務災害」として、業務災害に係る各種保険給付が支給されますが、この場合であっても、全ての就業先の事業場の賃金額を合算した額を基礎に保険給付されます。

今回の法改正によって複数業務要因災害に関する保険給付が新設され、複数事業労働者に対する保険給付の在り方が変わりました。このため、各種様式を改正され、複数業務要因災害が新設されたことに伴い、「業務災害用」の様式が、「業務災害用・複数業務要因災害用」の様式に改正されます。

また、複数事業労働者への保険給付額が、各就業先の事業場の賃金額を合算した額を基礎として算定されることに伴い、各種保険給付の請求書に「その他就業先の有無」を記載する欄が追加され、また、一部については、副業先の賃金額等の証明をするための別紙の記入が必要となります。

お問い合わせはお気軽に。043-245-2288

参考リンク

複数事業労働者への労災保険給付(厚生労働省HP,PDF)