• 労働政策研修・研究機構が「多様な働き方の進展と人材マネジメントの在り方に関する調査(企業調査・労働者調査)」を公表
  • 副業・兼業を容認する企業は、まだ非常に少ない
  • 5年先を見据えて副業・兼業の実施に積極的な者 37.0%と 4 割弱を占めた

労働政策研修・研究機構が「多様な働き方の進展と人材マネジメントの在り方に関する調査(企業調査・労働者調査)」を公表しました。本調査の内容は多岐にわたりますが、ここでは、近年広まりつつあると言われている「兼業・副業」の現状について注目したいと思います。

まず、明らかになったのは、副業・兼業を容認する企業は、まだ非常に少ないことです。企業調査では、「副業・兼業の許可する予定はない」が 75.8%ともっとも割合が高く、「副業・兼業を許可している」は 11.2%、「副業・兼業の許可を検討している」が 8.4%でした。このように、「検討している」を含めても、副業・兼業に前向きな企業は2割程度にとどまっています。

では、副業・兼業を許可している企業は、どのように考えているのでしょうか。許可している企業では「従業員の収入増加につながるため」が 53.6%ともっとも多い結果となっています。一方、「副業・兼業の許可する予定はない」とする企業の副業・兼業を許可しない理由(複数回答)は、「過重労働となり、本業に支障をきたすため」が 82.7%ともっとも多く、次いで、「労働時間の管理・把握が困難になる」(45.3%)、「職場の他の従業員の業務負担が増大する懸念があるため」(35.2%)などとなっています。

副業・兼業に慎重な企業の姿勢に対して、労働者調査では、今後、5年先を見据えて副業・兼業の実施に積極的な者(「新しくはじめたい」「機会・時間を増やしたい」と回答した者)は 37.0%と 4 割弱を占めています。その理由は、「収入を増やしたいから」が 85.1%でもっとも多くなっています。

このように、企業がまだまだ乗り気ではない現状では、副業・兼業が急速に広まるということはないと思われます。長労働時間労働が問題になっている今、その問題を解決しないまま副業・兼業を解禁しても、それをしようとする労働者も少ないでしょう。

しかし、他の業種での経験が自社にも役に立つということは十分に考えられます。新しい視点や人脈を必要とする企業では、副業・兼業を前向きに検討する余地があるのではないでしょうか。

参考リンク

『多様な働き方の進展と人材マネジメントの在り方に関する調査(企業調査・労働者調査)』(JILPTのHP、PDF)

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