雇用保険法施行規則の改正案のパブリックコメントが始まりました。そこで、今回はそこで公開された資料をもとに、改正内容をみていきましょう。
今回の改正は、出生後休業支援給付金と育児時短就業給付金の2つに関するものです。
そのうち、出生後休業支援給付金は下図のような制度ですが、省令について以下に掲げる改正が行われます。
第1に、①被保険者が育児休業給付金または出生時育児休業給付金が支給される休業を対象期間内に通算して 14日以上取得した場合であって、②配偶者が当該出生後休業に係る子について給付対象出生後休業をしたとき(③当該配偶者が当該子の出生の日から起算して8週間を経過する日の翌日までの期間内に通算して 14 日以上の給付対象出生後休業をしたときに限る。)、または④被保険者の配偶者が給付対象出生後休業をすることを要件としない場合に該当するときに支給するものとされました
次に、上記④の配偶者が出生後休業をすることが出生後休業支援給付金の支給要件としないこととされている被保険者のうち、「配偶者のない者その他厚生労働省令で定める者」については、ⅰ)当該給付対象出生後休業に係る子が、当該被保険者の配偶者の子に該当しない者である場合等とされました。また「配偶者が当該出生後休業に係る子の出生の日から起算して8週間を経過する日の翌日までの期間内において当該子を養育するための休業をすることができない場合として厚生労働省令で定める場合」として、ⅱ)配偶者が日々雇用される者である場合等が定められます。
第3に、同一の子について出生後休業を分割して取得し、出生後休業支援給付金の支給を受けることができる場合は、育児休業給付金又は出生時育児休業給付金の支給の対象となる休業を分割して取得した場合とされます。
第4に、出生後休業給付金の支給申請手続は、原則、育児休業給付金又は出生時育児休業給付金の支給申請手続と併せて行わなければならない等とすること。
次に、育児時短就業給付金の創設等の改正が行われることに対応するため、以下に掲げる改正が行われます。
- 事業主は、従業員が育児時短就業を開始した場合に、従業員が育児時短就業給付金の支給申請書を提出する日までに、育児時短就業開始時の賃金に係る証明書をその事業所の所在地を管轄する公共職業安定所の長に提出しなければならないこと。
- 育児時短就業給付金は、従業員が、その期間中は育児時短就業をすることとする一の期間について、その初日および末日とする日を明らかにしてする育児時短就業の申出に基づき、事業主が講じた1週間の所定労働時間を短縮する措置である就業をした場合に支給するものとすること。ただし、当該末日とされた日(⑴及び⑵に該当する場合にあっては、その前日)までに、1から4までに掲げる事由に該当することとなった場合には、当該事由に該当することとなった日(3および4に該当する場合にあっては、その前日)後は、支給しない。
- 子の死亡その他の被保険者が育児時短就業の申出に係る子を養育しないこととなった事由として公共職業安定所長が認める事由が生じたこと。
- 育児時短就業の申出に係る子が2歳に達したこと。
- 育児時短就業の申出をした被保険者について、産前産後休業期間、介護休業期間または育児休業等をする期間が始まったこと。
- 育児時短就業の申出をした被保険者について、新たな2歳に満たない子を養育するための所定労働時間を短縮することによる就業をする期間が始まったこと。
- 育児時短就業給付金の額の算定に当たって、 支給対象月に支払われた賃金の額が、育児時短就業開始時賃金日額に30を乗じて得た額の100分の90 に相当する額以上100 分の100に相当する額未満である場合の減額率について定められたこと
- 育児時短就業給付金の支給申請手続は、初めて支給を受けようとするときは、支給対象月の初日から起算して4箇月以内に行わなければならない等とすること
上記のほかに次のような改正も行われます。
第1に、育児休業給付金の対象となる育児休業の分割取得回数の制限の例外に、出向日の前日に育児休業をしている場合であって、出向日以後も引き続き当該休業をするとき(出向をした日以後も引き続き被保険者であるときに限る。)を追加されます。
第2に、出生時育児休業の支給申請手続について、「子の出生日から8週間を経過する日の翌日から」に加え、「同一の子について2回の出生時育児休業を取得した場合は当該休業を終了した日の翌日から」及び「出生時育児休業を取得した日数が通算して28日に達した場合はその翌日から」も行うことができるものとされます。
参考リンク
「雇用保険法施行規則等の一部を改正する省令案」に関する御意見の募集について(e-gov)