前回に引き続き、改正育児介護休業法に関するQ&Aのなかで、注目の内容を紹介しましょう。今回は、出生時育児休業に関する部分を取り上げます。

出生時育児休業とは、「子の出生後8週以内に4週間まで取得することができる柔軟な育児休業の枠組み」であり、「①申出期限が原則休業の2週間前まで②新制度の中で分割して2回取得することが可能③労使協定を締結している場合に限り、労働者と事業主が合意した範囲内で、事前に調整した上で休業中に就業することが可能 という特徴があります」。

Q2-13:意向確認の措置に対して労働者から「育児休業の取得の意向はない」と回答があった場合、その後に労働者から育児休業申出が行われても、拒むことができるのですか。
A2-13:法第 21 条第1項に基づき事業主が労働者に育児休業の意向確認をした際に、労働者が「育児休業の取得の意向はない」旨を示したとしても、労働者は法に基づき育児休業の申出を行うことができ、事業主は適法な労働者の育児休業申出を拒むことはできません。

意向確認は、あくまでその時点での考えを確認するにとどまるもので、実際に育児休業を取得するかどうかは、申出期限まで本人が決めることができるというわけです。出生時育児休業は、主に男性の育児休業の取得促進を目的として創設された制度ですが、養子の場合は女性も対象となります。

Q5-7:産後7週~10 週の休業申出があった。産後7~8週は自動的に出生時育児休業になるのか。または、8週のうち4週までの育児休業は全て出生時育児休業として取り扱うよう労使で取り決めてよいですか。
A5-7:育児休業申出と出生時育児休業申出はそれぞれ別の権利として労働者に付与されているものですので、「産後○週間以内の期間についての休業の申出は出生時育児休業の申出とする」といった自動的・一律の取扱いはできません。また、労使協定等でそのような取扱いとすることを事前に取り決めることもできません。 仮に、労働者から、育児休業申出又は出生時育児休業申出のどちらか不明な申出が行われた場合には、事業主はいずれの申出に対しても、その申出をした労働者にどの申出であるかを確認してください。

このQ&Aは、育児休業と出生時育児休業が別物であることを明らかにしたものと考えられ、重要です。つまり妻が産後休業期間中の男性の育児休業がすべて出生時育児休業となるわけではありません。そして、どちらを取得することを希望しているのか、申出時に確認する必要があります。

Q5-10:出生時育児休業を2回に分割して取得する場合は、その都度申し出ればよいですか。
A5-10:出生時育児休業を2回に分割して取得する場合は、初回の出生時育児休業の申出の際にまとめて申し出ることが原則であり、まとめて申し出ない場合(1回目の出生時育児休業の申出をした後日に2回目の申出をする場合)には、事業主は2回目以降の出生時育児休業に係る申出を拒むことができます。なお、事業主はこれを拒まないことも可能ですので、この場合は法第9条の2に規定する法定の出生時育児休業を取得することとなります。

使いやすいという触れ込みの出生時育児休業ですが、2回分割の場合には初回の申出でまとめて申し出なければならないとされています。もとより機関が8週間と限られているためというのもあるのでしょう。

Q6-7:出生時育児休業開始後、出生時育児休業中の就業日に撤回事由に該当しない事由で休む場合に、年次有給休暇を取得することは可能ですか。また、出生時育児休業開始後に予定していた業務がなくなったため事業主側から就業日を撤回することは可能ですか。
A6-7:出生時育児休業期間中の就業日は労働日であるため、年次有給休暇を取得することは可能です。また、出生時育児休業期間開始後に事業主から当該就業日について撤回をすることはできません。

出生時育児休業期間中の就業日についても年休の取得が可能であることを確認したものです。

Q7-3:出生時育児休業については、2回に分割して取得する場合には初めにまとめて申し出なければならないとのことですが、通常の育児休業についても、2回に分割して取得する場合にはまとめて申し出ないといけないのですか。
A7-3:通常の育児休業については、まとめて申し出る必要はありません。

出生時育児休業の場合、2回に分割する場合には、まとめて申し出なければならないとされていますが、通常の育児休業についてはそのような決まりはありません。

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参考リンク

令和3年改正育児・介護休業法に関するQ&A(令和年3年11月30日時点)(厚生労働省HP)