今回は、今年の4月に施行された労基則で改正された企画業務型裁量労働制について、厚生労働省が作成したQ&Aのうち、労使員会の運営規程に関するものを取り上げて紹介します。

運営規程で定めなければならない事項は次の通りです。

  1. 労使委員会の招集に関する事項
  2. 労使委員会の定足数に関する事項
  3. 労使委員会の議事に関する事項
  4. 対象労働者に適用される賃金・評価制度の内容の使用者からの説明に関する事項
  5. 制度の趣旨に沿った適正な運用の確保に関する事項
  6. 開催頻度を6か月以内ごとに1回とすること
  7. その他労使委員会の運営について必要な事項
    • 使用者が労使委員会に対し開示すべき情報の範囲、開示手続および開示が行われる労使委員会の開催時期
    • 労働組合や労働条件に関する事項を調査審議する労使協議機関がある場合には、それらと協議の上、労使委員会の調査審議事項の範囲についての定め
    • 労使委員会が労使協定に代えて決議を行うことができる規定の範囲についての定め

このうち、4の「賃金・評価制度の内容の使用者からの説明」のタイミングについては、次のようなQ&Aがあります。

5-1(Q)企画型において、対象労働者に適用される評価制度及びこれに対応する賃金制度を変更する場合の労使委員会への説明については、変更の前に行わなければならないのか。
(A)企画指針第3の7⑵ロにあるように、対象労働者に適用される評価制度及びこれに対応する賃金制度の変更の内容については、事前に説明を行うことが原則であり、また事前に説明を行うことが困難な場合であっても、変更後遅滞なく説明を行うことが適当であることに留意することが必要である。

企画指針では、「使用者は、対象労働者に適用される評価制度及びこれに対応する賃金制度を変更する場合にあっては、労使委員会に対し、当該変更の内容について説明を行うこと。」とされていることに関する設問です。この説明については、「事前」を原則としつつ、「事後遅滞なく」実施することも許容するものです。

また、4および5については、次のような例示がありますので参考にしてください。

5-2(Q)労使委員会の運営規程に記載が求められている「対象労働者に適用される評価制度及びこれに対応する賃金制度の内容の使用者からの説明に関する事項」や「制度の趣旨に沿った適正な運用の確保に関する事項」については、具体的にどのような項目を記載することが考えられるのか。
(A)規程における「対象労働者に適用される評価制度及びこれに対応する賃金制度の内容の使用者からの説明に関する事項」については、対象労働者に適用される評価制度及びこれに対応する賃金制度の内容について労使委員会に対して説明を行う事項及び労使委員会に対する説明を決議の前に行うことについて定めておく必要がある。
例えば、・・・人事評価の決定方法及び当該評価と連動した裁量労働制の特別手当や基本給等の設定について、決議を行うための初回の調査審議において労使委員会に対して説明を行うこと等を定めることが考えられる。
運営規程における「制度の趣旨に沿った適正な運用の確保に関する事項」については、企画型の実施状況の把握の頻度及び方法について定めておく必要がある。 例えば、実施状況の把握の方法として、・・・企画型の対象労働者の賃金水準や制度適用に係る特別手当の実際の支給状況、評価結果等に関する分布を労使委員会に開示・・・することを定め、それらの頻度として6箇月以内ごとに1回等とすることをあらかじめ運営規程に定めておくことが考えられる。

本設問は運営規程の記載事項について、その例を示すものですので、規程を作成する上で参考になります。

労使委員会の運営規程は厚生労働省が作成した「企画業務型裁量労働制の解説」でも規定例が掲載されています。

お問い合わせはお気軽に。043-245-2288

参考リンク

裁量労働制の概要(厚生労働省HP)