厚生労働省が「労働時間制度等に関する実態調査」の結果を労働政策審議会労働条件分科会に提出しました。本調査は、働き方改革法の附則および附帯決議に基づき、労働時間制度等の見直しおよび労働基準法等の改正を検討する際の基礎資料を得るため、労働時間制度等の実態を把握することを目的とするものです。
本資料は、概要でも130ページにわたるため、ここでは重要なポイントについていくつかみていくことにします。
はじめに、36協定の締結状況です。全事業所計でみると、特別条項なしの三六協定を締結している企業が14.6%、特別条項ありの三六協定を締結している企業が35.1%、そして三六協定を締結していない企業が42.3%でした。特に1~9人の企業では未締結企業が54.1%にのぼっており、この中には本来は締結・届け出が必要な企業も少なからず存在しているものと思われます。実際、同規模の企業で時間外労働が1か月に0時間の企業は25.9%でした。
では、実際の時間外・休日労働の状況(令和6年6月の実績)についてみてみると、時間外労働時間は全常用労働者の平均値で最も多かったのは0~20時間で59.4%でした。また、全常用労働者のうち最長の者で最も多かったのも0時間~20時間で39.2%、次いで20時間~45時間で24.3%でした。このように、時間外労働時間は最長の者でも半数以上が45時間以下でした(ただし、上記のとおり6月の実績であることに注意)。
次に、法定休日労働時間については、全常用労働者の平均値・全常用労働者のうち最長の者ともの0時間が最も多く、それぞれ72.5%・68.7%でした。そして、時間外労働時間と法定休日労働時間の合計については、全常用労働者の平均値・常用労働者のうち最長の者ともに最も多かったのは0時間~20時間でそれぞれ54.1%・35.4%でした。このように法定休日については、7割に近い企業で行われていないということがわかりました。
最後に、従業員の健康保持の観点から注目される「勤務間インターバル制度」については、全労働者または一部の労働者を対象として導入している企業は9%にとどまっており、「制度もなく、今後も導入の予定はない」と回答した企業が42.4%でした。このように、勤務間インターバルの導入が進んでいない現状も明らかになりました。


参考リンク
第196回労働政策審議会労働条件分科会(資料)(厚生労働省HP)