令和7年4月1日から職業安定法に基づく省令及び指針が一部改正され、募集情報等提供事業者が労働者に金銭やギフト券等を提供することは原則禁止になります。

雇用仲介事業者による労働者になろうとする者への金銭提供は、募集情報等提供事業については、これまで禁止等はされていませんでしたが、金銭等の誘因があることで過度の報告インセンティブが生じ、採用後の労働者から複数の募集情報等提供事業者に採用決定の報告がされる結果、募集主が複数の事業者から成功報酬の請求を受けたり、高額な違約金請求を受けるなど募集情報等提供事業ならではの問題が生じています。

安心して雇用仲介事業を利用できない状況は、労働市場にとって重大な問題であり、また雇用仲介事業の健全な発展を阻害するものです。そのため、次の措置が講じられることになりました。

(1)労働者になろうとする者に、金銭等(ギフト券やポイントカードのポイントも含みます)の提供は好ましくなく、社会通念上相当と認められる程度を超えて、金銭などを提供することを行うことが禁止されます。

ここで「社会通念上相当と認められる程度」については、労働者への金銭等の提供が、募集情報を提供するサービスにおけるさまざまな時点で、種々の目的・効果・態様の下で行われており、一律の基準や目安を示すことは困難とされています。ただし、原則禁止とした趣旨は、金銭等の誘引による離転職や募集主に残される料金の支払い負担の問題等の料金請求に係るトラブル等を防止することにありますので、こうした問題・トラブルを発生させるおそれがないかを判断することとなります。

なお、下記については、指針による原則禁止の対象外となります。

  • 提供するサービスの質の向上を図るため、サービス利用者からアンケート等への回答を求める場合であって、回答者すべてに対してではなく、抽選による少数者に対して、500円程度の電子ギフト券等を提供するもの。
  • イベント来場者を確保するため、転職フェアへの来場及びブース訪問者に対して、500円程度の電子ギフト券等を提供するもの(求人サイトへの登録の対価として提供されるものを除く)。

(2)募集情報等提供事業の利用料金、違約金等の額、発生条件、解除方法等を含む契約の内容について、分かりやすく明瞭かつ正確に記載した書面または電子メールその他の適切な方法により、あらかじめ募集主に誤解が生じないよう明示が必要です。なお、契約の内容には、本人が採用辞退後に別ルートで採用などの際に違約金を適用する場合や一定の無料期間経過後に有料となる場合の料金、利用契約の更新に関する契約内容も含むものとされています。

利用料金、違約金規約等の明示については、ホームページに掲載することで明示することも可能です。ただし、利用規約等について募集主に対して見せた文面と同じものを、契約締結後に募集主も確認できる必要があります。たとえば、募集情報等提供事業者が募集主に対し、①単にホームページの該当箇所を教示する、②ホームページ上で規約自体をスクロールで確認させ、同意ボタンを押させる、といった方法では、適切な方法で明示しているとはいえません。利用料金や違約金について、対面での説明の場合は、分かりやすく明瞭かつ正確に記載した書面を手交し、非対面での説明の場合は、分かりやすく明瞭かつ正確に記載した書面または電子メールで送付する方法を基本とし、それ以外であってもこれと同等の効果をもたらすものといえる方法で行う必要があります。

お問い合わせはお気軽に。043-245-2288

参考リンク

雇用仲介事業者(職業紹介事業者、募集情報等提供事業者)は新たなルールへの対応が必要です(厚生労働省HP)