厚生労働省が、国民年金の保険料収納対策の推進・厚生年金保険の適用促進対策に関し、本年度予算案で措置している主な取組の内容が公表されました。

そのうち厚生年金保険については、法人登記簿情報の活用により把握した適用調査対象事業所に対する加入指導等に、集中的に取り組むとしています。

特に、今回注目されるのは、国税庁からの情報提供が行われることです。これにより稼働実態が確認された適用調査対象事業所については、日本年金機構職員による対応を基本として、3年間で集中的に加入指導等に取り組むとされています。

加入指導の流れは、次のようなものとされています(厚生労働省公表資料より)。

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本資料によれば、大まかには三段階に整理できます。

まず第一段階では、外部委託による文書、電話および訪問による加入勧奨が行われます。ここでは、法人登記簿と厚生年金保険の適用事業所との不一致情報を元にすることから、稼働実態のない休眠法人やペーパーカンパニーである可能性があるため、外部委託等による対応を基本として、事業実態の把握や、文書又は電話による加入勧奨に取り組むとしています。

なお、図にもあるように、雇用保険被保険者が50名以上の事業場や運輸局等の関係機関や従業員からの情報提供による場合は、第一段階を経ずに、次の段階へ進みます。資料を読む限り、国税庁からの情報提供による場合もこれに含まれます。要するに第一段階の対象となるのは、事業実態が明らかでない事業所ということになり、許認可を得ていたり、税務書類等から稼働実態が明らかになれば、第二段階からスタートするという仕組みのようです。

次の段階では、年金事務所職員による加入指導が行われます。その内容としては、来所要請および戸別訪問です。私見と断わりますが、具体的には、期日を指定して管轄年金事務所へ来所するよう通知がくること、職員が直接事業所へ訪問することなどが考えられます。

そして、第三段階では、認定による加入手続きが行われます。この場合は、事実上強制的に加入手続きが実施されることになります。

ところで、まだ厚生年金保険に加入していない事業所が気になるのは、勧奨等が行われた場合に、厚生年金保険の加入が遡って実施されるのかどうかという点でしょう。本資料を見る限り、その点は明らかではありません。ただ、あまりうっかりしたことは書けませんが、たまたま私の手元にある資料によれば、少なくとも認定による加入の場合、事業実態が確認できた時期まで遡る取扱いとなるようです(最長2年遡及)。

このように、今後厚生年金保険への適用促進がこれまで以上に強化される見込みです。

 

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なお、当事務所では適用指導対応のためのページを公開していますので、ぜひご覧下さい。

■関連リンク

平成27年度予算案における国民年金保険料収納対策等について(厚生労働省HP)

 

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