同一労働同一賃金ガイドラインの改正
同一労働同一賃金ガイドラインが令和8年10月に改正されます。そこで、今回はその主な改正事項についてみてみましょう。本ガイドラインは、正社員と非正規雇用労働者との間に待遇差が存在する場合に、どのような待遇差が不合理なものであり、どのような待遇差が不合理なものでないのか、原則となる考え方及び具体例を示したものです。したがって、原則となる考え方等に反した場合、待遇差が不合理と認められる等の可能性があります。
今回の改正の主な内容は、①裁判例を踏まえた記載の見直し、②通常の労働者の待遇引下げによる待遇の相違の解消に係る記載趣旨の明確化、③パートタイム・有期雇用労働法第8条の「その他の事情」の明確化、④無期雇用フルタイム労働者等へのガイドラインの趣旨の波及の4点です。
このうち①裁判例を踏まえた記載の見直し、では待遇に関する以下の事項を追加・新設されます。

- 賞与・退職手当について
- 賞与・退職手当の性質・目的として、労務の対価の後払い、功労報償等の様々な性質・目的が含まれる。
- これらの性質・目的が妥当するにもかかわらず、非正規雇用労働者に対し、通常の労働者との間の職務の内容等の相違に応じた均衡のとれた内容を支給しない場合、不合理と認められるものに当たりうることに留意。【記載の充実(賞与)】【新規追加(退職手当)】
- 無事故手当
- 通常の労働者と業務の内容が同一の非正規雇用労働者には、通常の労働者と同一の無事故手当を支給。【新規追加】
- 家族手当
- 労働契約の更新を繰り返している等、相応に継続的な勤務が見込まれる非正規雇用労働者には、通常の労働者と同一の家族手当を支給。【新規追加】
- 住宅手当
- 住宅手当であって、転居を伴う配置の変更の有無に応じて支給されるものについて、通常の労働者と同一の転居を伴う配置の変更がある非正規雇用労働者には、通常の労働者と同一の住宅手当を支給。【新規追加】
- 病気休職・休暇
- 労働契約の更新を繰り返している等、相応に継続的な勤務が見込まれる非正規雇用労働者にも、通常の労働者と同一の病気休職・休暇(療養への専念を目的とした休暇に限る)期間に係る給与を保障。【記載の充実】
- 夏季冬季休暇
- 非正規雇用労働者にも、通常の労働者と同一の夏季冬季休暇を付与。【新規追加】
- 褒賞
- 一定の期間勤続した労働者に付与するものについて、通常の労働者と同一の期間勤続した非正規雇用労働者には、通常の労働者と同一の褒賞を付与。
また、いわゆる「正社員人材確保論」については、通常の労働者と短時間・有期雇用労働者との間に待遇の相違がある場合において、その要因として当該待遇を行う目的に「通常の労働者としての職務を遂行しうる人材の確保及びその定着を図る」等の目的があったとしても、当該目的があることのみをもって直ちに 当該待遇の相違が不合理ではないと当然に認められるものではない旨が記載されました。
②については、事業主が通常の労働者とパートタイム・有期雇用労働者との間の相違の解消をしようとする場合に、パートタイム・有期雇用労働法の目的に鑑みれば、通常の労働者の労働条件を不利益に変更することなく、パートタイム・有期雇用労働者の労働条件の改善を図ることが求められる旨が明確化されました。
③については、行政通達で示されている「その他の事情」の具体例(職務の成果、能力、経験、合理的な労使慣行等)がガイドラインにも記載されました。また、事業主がパートタイム・有期雇用労働者の意向を十分に考慮せず一方的に待遇を決定した場合、当該待遇の相違が不合理と認められる事情として考慮されうる旨が明確化されました。
④については、無期雇用フルタイム労働者について、パートタイム・有期雇用労働法に規定するパートタイム・有期雇用労働者には該当しませんが、これらの労働者との労働契約を締結・変更する際の「均衡の考慮」に当たっては、ガイドラインの趣旨が考慮されるべきであること等が記載されました。
上記のほか、平成30年の法改正の趣旨(不合理性は個々の待遇ごとに判断)の明確化、労使による待遇の体系についての議論に当たっての非正規雇用労働者の意向の考慮等ガイドラインの派遣労働者・協定対象派遣労働者に関する記載も、パートタイム・有期雇用労働者と同様の見直しが行われました。



