同一労働同一賃金GLのQ&Aが公開①
同一労働同一賃金ガイドラインが10月に改正されるのを前に「同一労働同一賃金ガイドライン及び雇用管理指針に関するQ&A(令和8年改正)」が公開されました。そこで今回は、本ガイドラインのうち、重要なものについて見ていくことにしましょう。
なお、ここでいう「同一労働同一賃金」とは、パート有期法で定められた下図の規制をいいます。

はじめに本ガイドラインの位置づけについては確認しましょう。すなわち「ガイドラインは、原則となる考え方等を示したものであり、これらを参照しつつ、各事業主において、それぞれの待遇について、当該待遇の性質及び当該待遇を行う目的に照らして適切と認められる事情を考慮し、通常の労働者との間の待遇の相違が不合理と認められるものとならないよう、短時間労働者の待遇を決定すること」とされています(問1-8)。
今回のガイドラインの改正では、これまでの「原則となる考え方」と「具体例」に加えて「留意すべき事項」が各所で追加されました。たとえば、賞与については、「…通常の労働者と同様に短時間・有期雇用労働者にも当該待遇の性質及び当該待遇を行う目的が妥当するにもかかわらず、短時間・有期雇用労働者に対し、…当該待遇の性質及び当該待遇を行う目的に照らして適切と認められるものの相違に応じた均衡のとれた内容の賞与を支給せず、かつ、その見合いとして、労使交渉を経て、当該待遇の性質及び当該待遇を行う目的が妥当しない他の短時間・有期雇用労働者に比べ基本給を高く支給している等の事情もない場合、当該賞与の相違は不合理と認められるものに当たりうることに留意すべきである」という「留意すべき事項」が追加されました。これは、不合理と認められる待遇の相違の解消等の取組を進めるに当たって留意すべき事項を記載したものとされています(問1ー1)
次に第3および第4の柱書では「職務の内容、当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情のうち、当該待遇の性質及び当該待遇を行う目的に照らして適切と認められるものの相違に応じた均衡のとれた待遇とすることが求められている」と記載が追加されました。これは、短時間・有期雇用労働法第8条は、職務の内容等が異なる場合であっても、その違いを考慮して両者の待遇が均衡のとれたものであることを求めるものであると解されており(ハマキョウレックス事件(最判平成 30 年6月1日))、第3の柱書の改正は、そのことを明確化したものであり、第4の柱書の改正は、派遣労働者について同様の記載をしているものとされています(問1-4)。
なお、今回の改訂で、第3および第4の「基本給」の(注)の各記載が、第2の「基本的な考え方」等に移設されました。これについては、改正前の「基本給」の(注)1は、通常の労働者と短時間・有期雇用労働者および派遣労働者との間に賃金の決定基準・ルールの相違がある場合の取扱いを定めたものですが、この取扱いは、待遇全般に関する記載であり、そのことを明確化するため、「第2基本的な考え方」に移設したものです。また、(注)2は、定年に達した後に継続雇用された有期雇用労働者の取扱いを定めたものですが、これらの取扱いも待遇全般に関する記載であり、そのことを明確化するため、「第3 短時間・有期雇用労働者」に移設したものとされています。
その上で、「通常の労働者」と「定年に達した後に有期雇用労働者として継続雇用された者」との間の待遇の相違が不合理と認められるか否かを判断するに当たっては、定年に達した後に継続雇用する場合のそれぞれの待遇について、当該待遇の性質および当該待遇を行う目的に照らして適切と認められる様々な事情が総合的に考慮されて判断されるものと考えられることを明確化したものとされています。待遇の性質及び当該待遇を行う目的によっては、有期雇用労働者が定年に達した後に継続雇用された者であることが、その他の事情として考慮される事情に当たらない場合もあると考えられ、このことに留意が必要とされています(問1-2)
今回の改訂では、第3の(注)1及び第4の(注)1に「その他の事情」の取扱いが記載されました。すなわち、「その他の事情については、職務の内容、当該職務の内容及び配置の変更の範囲に関連する事情に限定されるものではない。職務の成果、能力、経験、合理的な労使の慣行、事業主と労働組合や過半数代表者等との間の交渉といった労使交渉の経緯や結果等の諸事情がその他の事情として想定されるものであり、考慮すべきその他の事情があるときに考慮すべきものである。また、事業主が…通常の労働者と短時間・有期雇用労働者との間の待遇の相違の内容及び理由について十分な説明を行わなかったと認められる場合や、事業主が待遇の体系に係る議論において短時間・有期雇用労働者の意向を十分に考慮せず一方的に短時間・有期雇用労働者の待遇を決定した場合には、当該事実も短時間…その他の事情に含まれ、通常の労働者と短時間・有期雇用労働者との間の待遇の相違が不合理と認められることを基礎付ける事情として考慮されうる」とされました。これは、従前から、施行通達において示されていたもので、今回ガイドラインにおいて明確化したものです。また、このことは、「事業主が待遇の体系に係る議論において短時間・有期雇用労働者の意向を十分に考慮せず一方的に短時間・有期雇用労働者の待遇を決定した場合」にも同様と考えられることから、今回の改正により、併せて、明確化したものとされています(問1-5)。
また、第3の(注)3「 『通常の労働者としての職務を遂行しうる人材の確保及びその定着を図る』等の目的で待遇を行う場合の取扱い」についても、このような目的があることのみをもって直ちに待遇の相違が不合理ではないと当然に認められるものではなく、当該待遇の他の性質及び当該待遇の他の目的にも照らして適切と認められる事情(職務の内容等)の客観的および具体的な実態に照らして判断されるものであることを入念的に記載したものとされています(問1-6)。



