先日、子ども・子育て支援法改正の記事を掲載しましたが、もっとも関心が集まっている拠出金や納付金について詳しく知りたいという声がありましたので、今回は、今後実施される予定の施策を資料をもとに見ていくことにしましょう。
そもそも子ども・子育て支援金制度のはじまりは、今年6月に閣議決定された「こども未来戦略方針」です。戦略方針では、少子化が我が国の直面する最大の危機であり、2030年までがこれを食い止めるラストチャンスであるとの認識の下、「若い世代の所得を増やす」「社会全体の構造・意識を変える」「全てのこども・子育て世帯を切れ目なく支援する」という3つの基本理念を掲げ、3兆円半ばにも及ぶ「加速化プラン」を実現することによって、これまでにない抜本的な政策強化を図ることとしました。その財源として、支援金制度が構築されることになりましたが、政府としては、歳出改革と賃上げによって実質的な社会保険負担軽減の効果を生じさせることにより、国民に実質的な負担が生じないとしています。
こども・子育て支援金制度は、令和8年度に創設され、令和10年度までに段階的に導入する予定です。支援金を活用して実施される主な事業には次のものがあります。
- 児童手当の抜本的拡充
- ①支給期間を中学生までから高校生年代までとする、②支給要件のうち所得制限を撤廃する、③第3子以降の児童に係る支給額を月額3万円とする、④支払月を年3回から隔月(偶数月)の年6回とする抜本的拡充を行うとされました。
- 妊婦のための支援給付の創設
- 市町村より、妊婦であることの認定後に5万円を支給し、その後、妊娠しているこどもの人数の届出を受けた後に妊娠しているこどもの人数×5万円を支給するものです。
- こども誰でも通園制度の創設
- 保育所等に通っていないこどもへの支援を強化する観点から、現行の「子どものための教育・保育給付」とは別に、新たに「乳児等のための支援給付」を創設するものです。利用対象者は、満3歳未満で保育所等に通っていないこどもとし、月一定時間までの利用可能枠の中で利用が可能となります。なお、0歳6か月までは制度として伴走型相談支援事業等があることなどから、0歳6か月から満3歳未満を基本的に想定しています。
- 出生後休業支援給付
- 子の出生直後の一定期間以内(男性は子の出生後8週間以内、女性は産後休業後8週間以内)に、被保険者とその配偶者の両方が14日以上の育児休業を取得する場合に、被保険者の休業期間について、28日間を限度に、休業開始前賃金の13%相当額を支給する「出生後休業支援給付」を創設
- 育児時短就業給付
- 被保険者が、2歳未満の子を養育するために、時短勤務をしている場合に、時短勤務中に支払われた賃金額の10%を支給する「育児時短就業給付」を創設
- 育児期間中の国民年金保険料免除措置の創設
- 自営業・フリーランス等の国民年金第1号被保険者について、その子が1歳になるまでの期間の国民年金保険料免除措置を創設する
以上の支援を行うために、支援金制度が創設されるわけです。支援金制度は令和8年度に創設され、令和10年度までに段階的に導入8年度0.6兆円、9年度0.8兆円、10 年度1 兆円規模になる予定です。支援金は医療保険料とあわせて徴収されることになっています。
支援金制度は、歳出改革と賃上げによって実質的な社会保険負担軽減の効果を生じさせ、その範囲内で構築するものとされています。なお、令和6~10年度の各年度に限り、つなぎとして子ども・子育て支援特例公債を発行して、財源とします。
また、こども・子育て政策の全体像と費用負担の見える化を進めるため、年金特別会計の子ども・子育て支援勘定及び労働保険特別会計の雇用勘定(育児休業給付関係)を統合 し、 子ども・子育て支援特別会計を令和7年度に創設されます。


参考リンク
支援金制度等の具体的設計に関する大臣懇話会(厚生労働省HP)