子ども・子育て支援法等の改正法案が参議院で可決・成立しました。そこで、今回は本改正法の概要についてみていくことにしましょう。なお、以下の内容は、法案提出時の資料によるものです。

今回の改正法案は、こども未来戦略の「加速化プラン」に盛り込まれた施策を着実に実行するため、ライフステージを通じた子育てに係る経済的支援の強化、全てのこども・子育て世帯を対象とする支援の拡充、共働き・共育ての推進に資する施策の実施に必要な措置を講じるとともに、こども・子育て政策の全体像と費用負担の見える化を進めるための子ども・子育て支援特別会計を創設し、児童手当等に充てるための子ども・子育て支援金制度を創設するものです。

法案では、「加速化プラン」において実施する具体的な施策として、①ライフステージを通じた子育てに係る経済的支援の強化、②全てのこども・子育て世帯を対象とする支援の拡充、共働き・共育ての推進があります。

このうち、①については、児童手当について、支給期間を中学生までから高校生年代までとする、支給要件のうち所得制限を撤廃する、第3子以降の児童に係る支給額を月額3万円とする、支払月を年3回から隔月(偶数月)の年6回とする抜本的拡充を行うこととされました。また、妊娠期の負担の軽減のため、妊婦のための支援給付を創設し、当該給付と妊婦等包括相談支援事業とを効果的に組み合わせることで総合的な支援を行うものとされました。

次に②については、保育所等に通っていない満3歳未満の子どもの通園のための給付(こども誰でも通園制度)を創設することなどが盛り込まれています。

③については、両親ともに育児休業を取得した場合に支給する出生後休業支援給付及び育児期に時短勤務を行った場合に支給する育児時短就業給付を創設するものとされました。これは雇用保険法の改正として行われるもので、令和7年4月1日施行予定です。また、自営業・フリーランス等について、第1号被保険者の育児期間に係る保険料の免除措置を創設するものとしました。これは国民年金法の改正として行われるもので、令和8年10月1日施行予定です。

次に、大きく報道された「子ども・子育て支援金制度」の創設です。①国は、児童手当の拡充や「子ども誰でも通園制度」、育児短時間就業給付制度等に必要な費用に充てるため、医療保険者から子ども・子育て支援納付金を徴収することとし、額の算定方法、徴収の方法、社会保険診療報酬支払基金による徴収事務等を定めるものとされました。

そのために、医療保険者が被保険者等から徴収する保険料に納付金の納付に要する費用(子ども・子育て支援金)を含めることとし、医療保険制度の取扱いを踏まえた被保険者等への賦課・徴収の方法、国民健康保険等における低所得者軽減措置等を定めるものとされています。

なお、以下は、支援金制度等の具体的設計に関する大臣懇話会の資料です。本資料からは、標準報酬月額に一定率を乗じて算出する方式になるように思われます。

本改正は、歳出改革と賃上げによって実質的な社会保険負担軽減の効果を生じさせ、その範囲内で、令和8年度から令和10年度にかけて段階的に導入し、各年度の納付金総額を定めるものとされています。なお、令和6年度から令和10年度までの各年度に限り、子ども子育て支援金の完全導入までの間に必要な費用に充てるため、子ども・子育て支援特例公債を発行できること等とされました。

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参考リンク

第213回国会(令和6年通常国会)提出法律案(こども家庭庁HP)