今回は年末調整の定額減税についてみていきましょう。

年末調整の対象となる⼈が、原則として、年調所得税額(年末調整により算出された所得税額で、住宅借入⾦等特別控除の適用を受ける場合には、その控除後の⾦額をいいます。以下同じです。)から年調減税額を控除する対象者となります。

対象者ごとの年末調整における年調減税額の控除は、住宅借入⾦等特別控除後の所得税額(年調所得税額)から、その住宅借入⾦等特別控除後の所得税額を限度に⾏います。 また、年調減税額を控除した⾦額に102.1%を乗じて復興特別所得税を含めた年調年税額を計算します。

年末調整の定額減税の対象外となるのは、給与所得者のうち、合計所得金額が1,805万円を超える人です。そのため、給与所得者が年末調整時に提出した基礎控除申告書などに記載された令和6年分の合計所得金額の見積額を確認し、合計所得金額が1,805万円を超える人の年末調整においては、年調所得税額から年調減税額を控除せずに年調年税額の計算を行っていただくことになります。基礎控除申告書などの提出がなく、給与所得者の合計所得金額の見積額の確認ができない場合は、給与所得者から給与所得者の合計所得金額の見積額の通知を受け、給与所得者が年調減税の対象か判断することになります。 なお、この通知については、口頭やメール等で行って差し支えないとされています。

給与収入が2,000 万円を超える人については、年末調整の対象となりません。したがって、確定申告で精算を行うこととなります。つまり、主たる給与の支払者からの給与収入は2,000万円を超えないが、その他の所得があるために合計所得金額が1,805万円を超える人が、年末調整で年調所得税額から年調減税額を控除しないで計算を行う人になります。たとえば、給与収入が1,900万円(給与所得1,705万円)で、不動産所得が200万円である人などです(問9-1)。

年末調整を終了した後に作成する「給与所得の源泉徴収票」については、「(摘要)」欄に、実際に控除した年調減税額を「源泉徴収時所得税減税控除済額×××円」、年調減税額のうち年調所得税額から控除しきれなかった金額を「控除外額×××円」(控除しきれなかった金額がない場合は「控除外額0円」)と記載します。また、合計所得金額が1,000万円超である居住者の同一生計配偶者(以下「非控除対象配偶者」といいます。)分を年調減税額の計算に含めた場合には、上記に加えて「非控除対象配偶者減税有」と記載します。

年末調整を行った後の源泉徴収票の「源泉徴収税額」欄には、年調所得税額から年調減税額を控除した残額に102.1%を乗じて算出した復興特別所得税を含む年調年税額を記載します(10-1)。

一方、令和6年分の給与の収入金額が2,000万円を超えるなどの理由により年末調整の対象とならなかった給与所得者については、源泉徴収の段階で定額減税の適用を受けた上、確定申告で最終的な定額減税との精算を行うこととなるため、「給与所得の源泉徴収票」の「(摘要)」欄には、定額減税額等を記載する必要はありません。なお、「源泉徴収税額」欄には、控除前税額から月次減税額を控除した後の実際に源泉徴収した税額の合計額を記載することになります(10-4)。

では、令和6年分の給与の収入金額が2,000 万円以下ですが、給与以外の収入があり令和6年分の合計所得金額が 1,805 万円を超える給与所得者の源泉徴収票については、どのような記載になるのでしょうか。この場合、年末調整の対象となる給与所得者であるため、源泉徴収票への定額減税額等の記載が必要ですが、給与以外の収入があり令和6年分の合計所得金額が1,805万円を超える人は、定額減税の対象とはならないため、「給与所得の源泉徴収票」の「(摘要)」欄には「源泉徴収時所得税減税控除済額0円、控除外額0円」と記載します(10-2)。

なお、給与所得者が退職した場合(年末調整を了した場合を除く。)に作成する源泉徴収票については、源泉徴収の段階で定額減税の適用を受けた上、再就職先での年末調整または確定申告で最終的な定額減税との精算を行うこととなるため、「給与所得の源泉徴収票」の「(摘要)」欄には、定額減税額等を記載する必要はありません(10-5)。

ある月の給与について、源泉徴収税額があるため月次減税を行ったものの、年末調整で合計所得金額が48万円以下となった給与所得者の源泉徴収票については、「(摘要)」欄に「源泉徴収時所得税減税控除済額 0円」「控除外額 30,000円」と記載します。

なお、この「控除外額」は、所得税および個人住民税の定額減税と併せて行われる各種給付措置の一つである「調整給付」(所得税から定額減税で引ききれないと見込まれる人への給付)のうち、令和7年に実施する不足額給付の額を算出する際に用いられます。ただし、扶養親族に該当する場合や、令和6年夏以降に市区町村から定額減税で引ききれないと見込まれるおおむねの額の支給がある場合などにおいて、「控除外額」に記載された金額と不足額給付の額は必ずしも一致しません。

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参考リンク

定額減税特設サイト(国税庁HP)