小規模事業場向けストレスチェック実施マニュアル素案を読む④
5-2 職場環境改善
事業者は、集団分析結果を活用し、職場環境のストレス要因の軽減に取り組むことが努力義務とされています。
6 労働者のプライバシーの保護
事業者は、ストレスチェック制度の実施に当たり、労働安全衛生法によりストレスチェックや高ストレス者の面接指導の実施の事務に従事した者には罰則付きで守秘義務が課せられているといった、労働者のプライバシーへの配慮を求めた法律の趣旨を十分踏まえる必要があります。
また、個人のストレスチェック結果については、健康情報であり、個人情報保護法第2条第3項に規定する「要配慮個人情報」に含まれる機微な情報となりますので、こうした情報については、労働者のプライバシー保護の観点から、その入手や提供において極めて慎重な取り扱いが求められます。
ストレスチェック制度に関連する結果、意見等について、事業者が提供を受ける場合の留意点は以下の通りです。

7 不利益取扱の禁止
事業者が、ストレスチェックおよび面接指導において把握した労働者の健康情報等に基づき、労働者の健康の確保に必要な範囲を超えて、当該労働者に対して不利益な取扱いを行うことは禁止されています。また、ストレスチェックを受けない労働者に対して、就業規則においてストレスチェックの受検を義務付け、受検しない労働者に対して懲戒処分を行うなどこれを理由とした不利益な取扱いを行うことは禁止されています。
8 外部委託ではなく自社で実施する場合の留意点
ストレスチェックの実施については、外部委託せず、自社で実施することも可能ですが、その場合には、個人のストレスチェック結果の取扱いが生じること等から、厚生労働省は、以下のような留意点を示しています。
第1に、実施体制については、人事に関して直接の権限を持つ監督的地位にある者(社長、人事部長等)はストレスチェックの実施の事務には従事できないこと、また、実施者、実施事務従事者は、労働者のストレスチェック結果等の健康情報を取り扱うこととなるため、守秘義務が課され、違反した場合の罰則があります。
第2に、特に小規模の事業場において、自社内の実施事務従事者について、守秘義務が課されることを含め役割の周知、運用の徹底がなされない限り、事業者に個人情報が容易に把握されてしまうのではないかという不安が生じやすく、ストレスチェック制度への労働者の協力が得られ
ず、適切な実施が難しくなることが指摘されています。
第3に、結果の通知に関しては、プライバシー保護上のリスク(誤送信・誤配布・人間関係から生じる情報漏洩等の可能性)およびその防止を含めた運用負担(封入・確認・結果通知記録の管理等の事務負担、人的負担)がともに大きくなることが指摘されています。
第4に、面接指導の申出勧奨に当たり、面接指導対象者だけに職場で封書を配布すると、面接指導対象者であると他の者に類推される可能性があることから、電子メールで通知する、自宅に封書で郵送する、全員にストレスチェック結果を封書で通知する際に併せて面接指導対象者である旨の通知文も同封して通知するなどの配慮が必要となります。
第5に、面接指導の実施について、医師を確保した上で、事業者への報告内容の線引きについて整理が必要となります(個人情報と就業上の措置に必要な情報が曖昧になりやすいので留意が必要です)。
第6に、集団分析の実施について、個人特定のリスクが高く、社内で管理していること自体への労働者の不安が生じやすいことに留意が必要です。なお、労働者数 10 人未満の事業場や 10 人以上の事業場における 10 人未満の集団単位では、プライバシー保護の観点から、原則として集団分析を実施しないこととされています。
第7に、結果の保存については、実施者(医師・保健師等)、実施事務従事者がストレスチェック結果を保存することとなりますが、この場合、事業場内のネットワークのサーバ、保管庫等に保存するとともに、パスワード設定等により、事業者等が閲覧できないようにする等の厳格な情報管理が求められます。
このような事情があることから、労働者数 50 人未満の事業場においては、原則として、ストレスチェックの実施を外部機関に委託することが推奨されているわけです。



