就活ハラスメント防止対策の指針案

労働施策総合推進法の改正法の施行、及び男女雇用機会均等法13条3項の規定に基づき、事業主が求職活動等における性的な言動に起因する問題(いわゆる「就活ハラスメント」)に関して雇用管理上講ずべき措置等についての指針の案について、パブリックコメントが募集されています。

そこで、今回はその指針案の概要をみていくことにしましょう。

指針案では、求職活動等におけるセクシュアルハラスメントを「性的な言動により求職者等の求職活動等が阻害されるもの」とし、同性に対するものも含まれるものとされています。また、被害を受けた者の性的指向またはジェンダーアイデンティティにかかわらず、本指針の対象となるものとされています。

ここで「求職活動等」とは、求職者が行う求職活動や求職者に類する者が行う職業の選択に
資する活動を指し、例えば以下のものが含まれるとされています。なお、SNS等のオンラインを介したものやオンライン上で行われるものも含まれ、事業主が雇用する労働者が通常就業している場所で行われるものに限られません。

  • 企業の採用面接への参加
  • 企業の就職説明会への参加
  • 企業の雇用する労働者への訪問
  • インターンシップへの参加
  • 教育実習、看護実習等の実習の受講

また、主な加害者と想定される「労働者」とは、事業主が雇用する労働者の全てをいいます。派遣労働者については、派遣先も、その指揮命令の下に労働させる派遣労働者を雇用する事業主とみなされ、後述する配慮および措置を講ずることが必要です。

「性的な言動」とは、①性的な内容の発言及び②性的な行動を指し、①性的な内容の発言には、性的な事実関係を尋ねること、性的な内容の情報を意図的に流布すること等が、②性的な行動には、性的な関係を強要すること、必要なく身体に触ること、わいせつな図画を配布すること等が、それぞれ含まれるとされています。また、就活ハラスメントを行う者には、事業主も想定されるため、これらの者による「性的な言動」についても必要に応じて適切な対応を行うように努めることが望ましいとされています。

「求職活動等におけるセクシュアルハラスメント」とは、求職活動等において行われる求職者等の意に反する性的な言動により求職者等の求職活動等が阻害され、能力の発揮に重大な悪影響が生じる等当該求職者等が求職活動等を行う上で看過できない程度の支障が生じることであって、その状況は多様であるが、典型的な例として、次のようなものが示されています。

  • 少人数の説明会において、労働者が求職者等の腰、胸等に触ったため、当該求職者等が苦痛に感じてその求職活動等の意欲が低下していること。
  • 企業が実施するインターンシップにおいて、労働者が求職者等に対して性的な冗談やからかいを意図的かつ継続的に行ったため、当該求職者等が苦痛に感じてインターンシップ中の活動が手につかないこと。
  • 企業が実施するインターンシップにおいて、性的な内容を含むポスターの掲示や画面の表示等を行っているため、求職者等が苦痛に感じてインターンシップ中の活動が手につかないこと。
  • 面接中、面接官を務める労働者から性的な事実に関する質問を受け、求職者が苦痛に感じてその求職活動の意欲が低下していること。
  • 求職者等が労働者への訪問を行った際、当該労働者に性的な関係を求められ、当該求職者等が苦痛に感じてその求職活動等の意欲が低下していること。
  • インターンシップ中に労働者が求職者等を執拗に私的な食事に誘い、当該求職者等が苦痛に感じてその求職活動等の意欲が低下していること。

そして、指針案では、事業主が求職活動等における性的な言動に起因する問題に関し雇用管理上次の措置を講じなければならないとされています。

(1)事業主の方針等の明確化及びその周知・啓発
事業主は、求職活動等におけるセクシュアルハラスメントに関する方針の明確化、労働者および求職者等に対するその方針の周知・啓発として、次の措置を講じなければならないとされています。なお、周知・啓発をするに当たっては、求職活動等におけるセクシュアルハラスメントの防止の効果を高めるため、その発生の原因や背景について労働者の理解を深めることが重要とされています。その際、求職活動等におけるセクシュアルハラスメントの発生の原因や背景には、性別役割分担意識に基づく言動もあると考えられ、こうした言動をなくしていくことが重要とされています。

  • 求職活動等におけるセクシュアルハラスメントの内容および求職活動等におけるセクシュアルハラスメントを行ってはならない旨の方針を明確化し、管理監督者を含む労働者に周知・啓発すること。
  • 求職活動等におけるセクシュアルハラスメントに係る性的な言動を行った者については、厳正に対処する旨の方針及び対処の内容を就業規則その他の職場における服務規律等を定めた文書に規定し、管理監督者を含む労働者に周知・啓発すること
  • 求職活動等に関するルールをあらかじめ明確化し、これを労働者及び求職者等に周知・啓発すること。

指針案では、相談・苦情に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備として、次の措置を講じなければならないとされています。

  • 相談への対応のための窓口(以下「相談窓口」という。)をあらかじめ定め、求職者等に周知すること。なお、求職者等は人事担当者への相談をためらうことも想定されることから、相談窓口の担当者として人事担当者以外の者を指定することも考えられる。
  • 上記の相談窓口の担当者が、その内容や状況に応じ適切に対応できるようにすること。また、相談窓口においては、被害を受けた求職者等が萎縮するなどして相談を躊躇する例もあること等も踏まえ、相談を行った求職者等の心身の状況や当該言動が行われた際の受け止めなどその認識にも配慮しながら、求職活動等におけるセクシュアルハラスメントが現実に生じている場合だけでなく、その発生のおそれがある場合や、求職活動等におけるセクシュアルハラスメントに該当するか否か微妙な場合であっても、広く相談に対応し、適切な対応を行うようにすること。

指針案では、求職活動等におけるセクシュアルハラスメントに係る相談の申出があった場合において、その事案に係る事実関係の迅速かつ正確な確認及び適正な対処として、次の措置を講じなければならないとされています。

  • 事案に係る事実関係を迅速かつ正確に確認すること
  • 求職活動等におけるセクシュアルハラスメントが生じた事実が確認できた場合においては、速やかに被害者に対する配慮のための措置を適正に行うこと
  • 上記配慮のための措置に加えて、行為者に対する措置を適正に行うこと
  • 改めて求職活動等におけるセクシュアルハラスメントに関する方針を周知・啓発する等の再発防止に向けた措置を講ずること

指針案では、上記の措置を講ずるに際しては、併せて次の措置を講じなければならないとされています。

  • 相談者・行為者等の情報はプライバシーに属するものであることから、相談への対応または事後の対応に当たっては、プライバシーを保護するために必要な措置を講ずるとともに、その旨を労働者及び求職者等に対して周知すること
  • 労働者が事実関係の確認等の事業主の雇用管理上講ずべき措置に協力したこと、都道府県労働局に対して相談、紛争解決の援助の求め若しくは調停の申請を行ったこと又は調停の出頭の求めに応じたことを理由として、解雇その他不利益な取扱いをされない旨を定め、労働者に周知・啓発すること
お問い合わせはお気軽に。043-245-2288

参考リンク

事業主が求職活動等における性的な言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置等についての指針(案)に関する御意見の募集について(e-govパブリックコメント)

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