世界の労働基準監督署からVOL016:東金労働基準監督署

厚生労働省が平成30年度に時間外労働などに対する割増賃金を支払っていない企業に対して、労働基準法違反で是正指導した結果を公表しました。

全国の労働基準監督署が、賃金不払残業に関する労働者からの申告や各種情報に基づき企業への監督指導を行った結果、平成30年4月から平成31年3月までの期間に不払だった割増賃金が各労働者に支払われたもののうち、その支払額が1企業で合計100万円以上となった事案を取りまとめたものです。

今回公表された資料によれば、是正企業数は1,768企業で、前年度比 102企業の減となりました。このうち、1,000万円以上の割増賃金を支払ったのは、228企業です。対象となった労働者数は11万8,837人で前年度比89,398人の減、支払われた割増賃金合計額は125億6,381万円で前年比320億7,814万円の減となっています。支払われた割増賃金の平均額は、1企業当たり711万円、労働者1人当たり11万円でした。

監督指導の対象となった企業では、タイムカードの打刻時刻やパソコンのログ記録と実働時間との隔たりがないか定期的に確認するなど、賃金不払残業の解消のために様々な取組が行われています。公表された資料では、自己申告(労働者が残業申請書を提出し、上司が承認)により労働時間管理を 行っていたが、自己申告の記録と警備システム記録とのかい離から、賃金不払残業の疑い が認められたため、労働時間の実態調査を行うよう指導した結果、警備システム記録や労働者からのヒアリングなどを基に労働時間の実態調査を行い、不払となっていた割増賃金を支払いったうえで、①経営トップが賃金不払残業解消に取り組む方針表明、②店長と総務担当者により労働時間の記録と警備システム記録のかい離の有無の確認、③全労働者に対する研修を行った事例などが紹介されています(この事例は、過重労働解消相談ダイヤルに寄せられた労働者の家族からの情報を基に、労基署が立入調査を実施したものです。)。

このように、平成30年度は件数、金額ともに前年に比べて減少しました。これがたまたまなのか、各社で労働時間管理が浸透してきたのかは不明ですが、働き方改革関連法の中小企業の施行も近づきつつある中、労働時間管理体制の整備は速やかに取り組むべき課題といえるでしょう。

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参考リンク

監督指導による賃金不払残業の是正結果(平成30年度)(厚労省HP)