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労働政策研究・研修機構(JILPT)が「年次有給休暇の取得に関するアンケート調査」の結果を公表しました。そこで、今回はその概要を見ていくことにしましょう。

はじめに、年休に関する制度の導入状況です。年休の計画的付与制度が「導入されている」とする企業割合は42.8%と、全体の4割を超えていました。年休取得促進に計画的付与制度が活用されていることが伺えます。一方、時間単位年休取得制度の導入状況では、「導入している」が22.0%と、引き続き低調となっていました。なお、時間単位年休取得制度が適用・導入されていない者で、勤務先での時間単位年休取得制度の「導入・適用してほしい」とする割合は50.6%となるなど、労働者のニーズは高いことには留意するべきでしょう。

また、企業調査では、年休取得率や年休取得日数などの目標設定状況についても調査されました。結果は「年休取得日数の目標のみを設定している」企業が多く、53.6%と全体の半数を占めました。一方取得率の目標設定の割合は低いこともわかりました。これは年休の付与日数が多い社員ほど達成が困難になることがその理由と思われます。なお、「何らの目標も設定していない」企業も34.9%ありました。

次に労働者調査についてみていきましょう。

もとより日本の年次有給休暇の取得率はおおむね50%程度となっています。そこで取得を躊躇う理由を理解することが、年休の取得促進の参考になります。これについては、7割以上の労働者が「急な用事のために残しておく必要があるから」や「病気のために残しておく必要があるから」を挙げました。このように、もしものときのためにとっておいた年休が、結局消滅しているというのが実情のようです。したがって、失効した年休を一定の期間と日数をプールして、傷病などの特定の事由に限って取得を認める失効年休積立制度などの導入などで、年休の取得促進が図れることが考えられます。一方、「休むと職場の他の人に迷惑になるから」が約5割、「休みの間仕事を引き継いでくれる人がいないから」と「仕事の量が多すぎて休んでいる余裕がないから」が約4割あり、取得を妨げる事情がある職場も少なくないといえます。

ところで、年休の取得については2019年に年次有給休暇の年5日の取得義務化が行われましたが、その理解度については、企業調査で「内容を十分に理解している」が64.4%、労働者調査では、「内容を含め知っている」が54.9%でした。法令の改正の認知度としては、比較的高いように思われます。

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参考リンク

年次有給休暇の取得に関するアンケート調査(企業調査・労働者調査)(JILPTのHP)