助成金の中には建設業事業主等のために設けられているものもあります。今回はその中でも広く活用ができる人材開発支援助成金(建設労働者技能実習コース)についてみていくことにしましょう。
本助成金は、若年者等の育成と熟練技能の維持・向上を図るため、キャリアに応じた技能実習を実施した場合に支給されるもので、中小建設事業主に対して、次の助成が行われます。
- 経費助成3/4<3/20>(ただし21人以上の場合は7/10<3/20>
- 賃金助成8,550円/人日<2,000円/人日>(ただし、21人以上の場合は7,600円/人日<1,750円/人日>
なお、<>は賃金要件または資格等手当要件を満たした場合の増額分です。助成額は100円未満切り捨てとなります。
本助成金は次のAまたはBの事業主で、雇用している雇用保険被保険者である建設労働者に、所定労働時間内に受講させ、その期間の所定労働時間に労働した場合に支払われる通常の賃金の額以上の賃金を支払った場合に助成対象となります。所定労働時間外又は所定労働日以外の休日等に技能実習を受講させた場合は、通常の賃金に加えて所定の割増をした額の賃金以上の額を支給することが必要です。
なお、「Aの中小建設事業主」とは、「建設の事業」の雇用保険料率の適用を受ける建設事業主であって、資本金の額もしくは出資の総額が3億円以下 、または常時雇用する労働者数が 300 人以下の建設事業主をいいます。
また、「Bの中小建設事業主」とは、「建設の事業」以外の雇用保険料率の適用を受ける建設業の許可を有する建設事業主であって、資本金の額もしくは出資の総額が3億円以下 、または常時雇用する労働者数が 300 人以下の建設事業主をいいます。
算定の対象となる建設労働者は、次のいずれかに該当する雇用保険被保険者である建設労働者であり、実際に訓練を受けた時間数が総訓練時間数の7割以上の者です。
- 助成の対象となる技能実習を行う「Aの中小建設事業主」に雇用されている建設労働者
- 助成の対象となる技能実習を行う「Bの中小建設事業主」に雇用されている建設労働者のうち、「Aの事業所」で勤務する建設労働者
- 助成の対象となる技能実習を行う「A又はBの中小建設事業主」と直接の下請関係にある、「Aの中小建設事業主」に雇用されている建設労働者
助成の対象になるのは、次のイまたはロに該当する技能実習です。
イ 次の1~3のすべての要件を満たす技能実習で下の表に「○」があるもの
- 1日1時間以上であること。また、①、⑤および⑦については、合計10時間以上(①には実技・学科の時間の割合は問いませんが、1時間以上は実技の時間を設けること)であること。なお、1日の時間数が1時間以上であっても、訓練と直接関連のない単なる開・閉講式やオリエンテーションなどは、助成の対象となりません。なお、試験時間は対象に含まれます。
- 技能実習の期間は最長でも6か月以内とすること
- 下表①、⑤(自ら実施する場合)の実習の指導員は、その実習の内容に直接関連する職種に関する職業訓練指導員免許を有する者、1級技能検定に合格した者、その他管轄労働局長がこれらと同等以上の能力があると認める者であること
なお、以下の場合は助成の対象になりません。
- 職場訓練(労働者を日常の職場で業務に就かせたまま行う訓練)及び営業活動の一環として行う技能実習
- 労働者本人から技能実習に要した費用を徴収する場合(確認のため、現金出納帳等の会計帳簿の提出を求めることがあります)
- 認定訓練(都道府県より補助又は助成を受けて行われる場合)
ロ 技術検定に関する講習次の1~2のすべての要件を満たす技能実習であるもの
- 建設業法で定める技術検定に関する講習であり、受講を開始する日において雇用保険法で定める教育訓練給付金の支給対象であること。対象となる講習については、厚生労働省ホームページ(教育訓練講座検索システム)を参照してください。
- 雇用保険法に定める指定教育訓練実施者が実施するものであること
手続きの概要は以下の通りです。
- 計画届の届出
- 雇用保険適用事業所ごとに、技能実習を実施しようとする日の3か月前から原則1週間前までに必要書類一式を技能実習の受講者が属する事業所の所在地を管轄する労働局に提出してください。なお、登録教習機関等が実施する実習を受講させる場合、計画届の提出は不要です。登録教習機関はここで確認できます。
- 支給申請書(経費助成、賃金助成分)の提出
- 技能実習を終了した日の翌日から起算して原則2か月以内に、必要書類一式を管轄する労働局に提出してください。
- 支給申請書(賃金向上助成・資格等手当助成)の提出
- 算定対象とする建設労働者の全てに対して、賃金要件・資格等手当要件を満たす毎月決まって支払われる賃金または資格等手当を支払った日(毎月決まって支払われる賃金または資格等手当の3ヶ月目の支払日をいう。)の翌日から起算して5ヶ月以内に、必要書類一式を管轄する労働局に提出してください。