先日、トラックに関する改善基準告示の改正見通しについて紹介しましたが、今回は、労働政策審議会部会の資料を参考に、他の改善基準告示が適用される業務であるタクシー、バス等も含めた改正内容のポイントについてみていくことにしましょう。
今回の改正案の検討にあたっては、トラック、タクシー、バスのそれぞれの作業部会で議論が行われましたが、改定案の時間数等は共通するものも見られます。
では、まず初めに、トラックの「改善基準」見直しのポイントについては次の通りです。
現行 | 見直し後 | |
1年の拘束時間 | 3516時間 | 3300時間 |
1か月の拘束時間 | 原則 290時間 最大 320時間 | 原則 284時間 最大 310時間 (1年の拘束時間が3400時間を超えない範囲で年6回まで) ※284時間を超える月が3か月を超えて連続しないこと。 ※月の時間外・休日労働が100時間未満となるよう努める。 |
1日の休息時間 | 8時間 | 継続11時間を基本とし、9時間下限 長距離・泊付きの運行の場合は、運行を早く切り上げ、まとまった休息を取れるよう例外を規定。 |
その他
- 連続運転時間:「運転の中断」は「原則休憩」とする。SA・PA等に駐車できない等、やむを得ない場合は30分延長可。
- 分割休息特例:分割の方法を見直し(現行:4H+6H、5H+5H等→見直し後:3H+7Hも可)、分割休息が連続する期間を短縮。
- 2人乗務特例:車両が一定の基準を満たす場合には、拘束時間を延長。ただし、運行終了後11時間以上の休息を確保。
- 予期し得ない事象:事故、故障、災害等やむを得ない場合の例外的取扱いを規定。
次にタクシー・ハイヤーに関する「改善基準」のポイントです。
現行 | 見直し案 | |
1か月の拘束時間 | <日勤> 299時間 <隔勤> 原則262時間 最大270時間(年6回まで) | <日勤> 288時間(年換算:3,456時間) <隔勤> 現行どおり |
1日の休息時間 | 継続8時間以上 | 継続11時間を基本とし、9時間下限 |
その他
- 車庫待ち等の自動車運転者(日勤):1か月の拘束時間を、現行より、22時間削減。
- 予期し得ない事象:事故、故障、災害等やむを得ない場合の例外的取扱いを規定。
- ハイヤー:必要な睡眠時間が確保できるよう、勤務終了後、一定の休息期間を与える。
バスの「改善基準告示」の見直しのポイントは以下の通りです。
現行 | 見直し案 | |
1年の拘束時間 | (年換算3,380時間) | 原則3,300時間 |
4週平均1週 1か月の拘束時間 | 4週平均1週 原則:65時間(月換算281時間) 最大:71.5時間(月換算309時間) | 1か月の拘束時間 原則:281時間 最大:294時間 (1年の拘束時間が3400時間を超えない範囲で年6回まで) ※281時間を超える月が4か月を超えて連続しないこと ※4週平均1週の拘束時間も同水準で存置。1か月と選択可 |
1日の休息時間 | 継続8時間 | 継続11時間を基本とし、9時間下限 |
その他
- 9時間下限連続運転時間:高速バス及び貸切バスの高速道路の実車運行区間における連続運転時間は概ね2時間とするよう努める。
- 分割休息特例:分割の方法を見直し(現行:4H+6H、5H+5H等→見直し後:4H+7H)、2分割まで。
- 2人乗務特例:19時間拘束、休息5時間。ただし、車両が一定の基準を満たす場合には、20時間拘束、休息4時間(現行どおり)。
- 予期し得ない事象:事故、故障、災害等やむを得ない場合の例外的取扱いを規定。
今回の改善基準告示では、上記のほかにも細かいルールがありますが、まずは上記のような重要なポイントを押さえてから、細かいルールに触れるとよいでしょう。
