今回の記事、ざっくり言うと・・・

  • 改正労働者派遣法の施行に合わせて、局長あての通達3本が厚労省HPに掲載
  • 今後派遣先の派遣期間制限は、事業所単位と派遣労働者個人単位の2本立てとなり、それぞれ3年と定められているが両者がズレることも想定されるため、期間管理は慎重に行う必要がある

image141改正労働者派遣法の施行に合わせて、局長あての通達3本が厚労省HPに掲載されました。

そこで、今回はそのうち、公布に合わせて発出された改正法に関する通達のうち、新たな労働者派遣期間の制限について、概観することにしましょう。

まず、派遣元事業主については、派遣元事業主は、派遣先の事業所等における組織単位ごとの業務について、3年を 超える期間継続して同一の派遣労働者に係る労働者派遣を行ってはならないとされました。

一方、派遣先については次のように定められています。

  1. 派遣先は、当該派遣先の事業所等ごとの業務について、派遣元事業主から 派遣可能期間を超える期間継続して労働者派遣の役務の提供を受けてはならな いこと(→第1の派遣期間規制)。ただし、無期雇用派遣労働者、60歳以上の者に係る労働者派遣等であるときは、この限りでないこと
  2. 1の派遣可能期間は、3年とすること
  3. 派遣先は、派遣元事業主から 3年を超える期間継続して派遣労働者を受け入れようとするときは、当該派遣先の事業所等ごとの業務に係る労働者派遣開始日以後の1の派遣可能期間に抵触する初日の1 月前の日までの間(4において「意見聴取期間」という。)に、3年を限り、 派遣可能期間を延長することができること。当該延長に係る期間が経過し た場合において、これを更に延長しようとするときも、同様とすること
  4. 派遣先は、派遣可能期間を延長しようとするときは、意見聴取期間に、過 半数労働組合等の意見を聴かなければならないこと
  5. 派遣先は、4により意見を聴かれた過半数労働組合等が異議を述べた ときは、延長前の派遣可能期間が経過するこ ととなる日の前日までに、派遣可能期間の延長の 理由等について説明しなければならないこと
  6. 派遣先は、①派遣可能期間を延長しようとする場合の過半数労働組合等から の意見の聴取、および②過半数労働組合等が異議を述べた場合の当該過半数労働組合等に対する派遣可能期間の延長の理由等の説明を行うに当たっては、法の趣旨にのっとり、誠実にこれらを行うように努めなければならないこと(努力義務)
  7. 派遣先は、派遣可能期間が延長された場合において、派遣先の事業所等における組織単位ごとの業務について、派遣元事業主から3年を超える期間継 続して同一の派遣労働者を受け入れてはならないこ と(→第2の派遣期間規制)
  8. 厚生労働大臣は、派遣先が1、4、5または7に違反して いるとき等についても、当該派遣先に対し、必要な措置等をとるべきことを勧告 することができることとし、勧告を受けた派遣先がこれに従わなかったときは、 その旨を公表することができること

このようにして、派遣先については、事業所単位の期間制限と派遣労働者個人単位の期間制限の2本立てとなり、それぞれ3年と定められました。そして、派遣先は、(事業所単位の)派遣可能期間を延長することができますが、その場合は、派遣可能期間抵触日の初日の1か月前の日までに、過半数労働組合等の意見を聞かなければなりません。

また、個人単位の派遣制限については、同一の組織単位に対し派遣でき る期間が3年に制限されています。この期間を超えて同一の業務に同一の派遣労働者を受け入れるはできませんが、課やグループが異なれば、引き続き同一事業所に派遣することができます。

なお、「課やグループ」については、条文では「組織単位」と表現されており、29日に発出された通達によると、「課、グループ等の業 務としての類似性や関連性がある組織であり、かつ、その組織の長が業務の配分や労 務管理上の指揮監督権限を有するものであって、派遣先における組織の最小単位より も一般に大きな単位を想定しており、名称にとらわれることなく実態により判断すべ きもの」とされています。したがって、課が違えば何でもよいというわけではありません。

このように、わかりやすい制度を目指したという割に、これはこれで複雑な規制となっています。通達の原文よりも、通達が掲載されたページにあるパンフレット(平成27年労働者派遣法改正法の概要)の方がわかり易いと思いますので、合わせてご覧になるととよいでしょう。

関連リンク

平成27年労働者派遣法の改正について(厚生労働省HP)

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