• 今回は、年5日の年休取得を会社に義務付ける規定について取り上げる
  • 使用者が与えなければならない法定の年休の日数が10労働日以上である労働者に係る年休の日数のうち、5日については、基準日から1年以内の期間に、労働者ごとにその時季を定めることにより与えることが義務付けられた
  • 会社による時季指定により与えるにあたっては、あらかじめ、年休を与えることを労働者に明らかにした上で、その時季について労働者の意見を聴かなければならない

 

世界の労働基準監督署からVOL016:東金労働基準監督署

前回に引き続き、改正労基法にかかる施行通達について見ていきましょう。今回は、年5日の年休取得を会社に義務付ける規定について取り上げたいと思います。

新労基法39条7項では、使用者が与えなければならない法定の年休の日数が10労働日以上である労働者に係る年休の日数のうち、5日については、基準日(原則として6箇月経過日から1年ごとに区分した各期間の初日をいいます。)から1年以内の期間に、労働者ごとにその時季を定めることにより与えることが義務付けられました。

会社による時季指定により与えるにあたっては、あらかじめ、年休を与えることを労働者に明らかにした上で、その時季について労働者の意見を聴かなければならないとされています。この意見聴取については義務です。

また、使用者は、年休の時季を定めるに当たっては、できる限り労働者の希望に沿った時季指定となるよう、聴取した意見を尊重するよう努めなければならないとされています。これは、努力義務ということになります。

以上をふまえると、年度当初に労働者の意見を聴いた上で年次有給休暇取得計画表を作成し、これに基づき年次有給休暇を付与すること等が考えられるとされています。ただし、労働者が自ら時季指定して5日以上の年休を取得した場合や、計画的付与により5日以上の年休を取得した場合には、使用者による時季指定は不要です。

ところで、労働者の意見を聴いた際に半日単位の年次有給休暇の取得の希望があった場合においては、年次有給休暇の時季指定を半日単位で行うことも差し支えないとされています。ただし、これらの場合において、半日単位の年次有給休暇の日数は0.5日として取り扱わなければなりません。

最後に法改正により作成が義務付けられた年休管理簿について概要を紹介します。使用者は、年休を与えたときは、時季、日数及び基準日(第一基準日及び第二基準日を含む。)を労働者ごとに年次有給休暇管理簿を作成し、年休を与えた期間中及び当該期間の満了後3年間保存しなければなりません。なお、年次有給休暇管理簿については、労働者名簿又は賃金台帳とあわせて調製することができます。

参考リンク

働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律による改正後の労働基準法の施行について(平成30年9月7日基発0907第1号)(厚生労働省HP、PDF)

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