今回は、令和6年改正育児・介護休業法に関するQ&A (令和6年11月19日時点)のなかで、「個別周知・意向確認」の部分についてみていきましょう。

今回の育児介護休業法の改正により、3歳以上小学校就学前の子を養育する労働者に対し、「柔軟な働き方を実現するための措置」を2つ以上講じ、労働者が選択できるようにしなければなりません。その措置については、労働者の子が3歳の誕生日の1か月前までの1年間に、次の措置についてについて、当該労働者に対して個別に周知するとともに意向確認を行う必要があります(A2-19)

  • 「柔軟な働き方を実現するための措置」の内容
  • 「柔軟な働き方を実現するための措置」の内容の申出先
  • 所定外労働の制限に関する制度、時間外労働の制限に関する制度及び深夜業の制限に関する制度

個別の周知及び意向確認の方法は、①面談、②書面の交付、③FAXの送信または④電子メール等の送信のいずれかによって行う必要があります(③、④は労働者が希望した場合のみ)。このうち、①については、オンラインによる面談も可能です。また、労働者の子が3歳の誕生日の1か月前までの1年間に実施されていれば、定期的に行っている人事面談等とあわせて実施することも可能です。

また、個別の周知・意向確認の対象者を一堂に集めて行うことも可能ですが、その場合には、「各対象者の事情を的確に踏まえられるように、個別に「書面の交付」を伴うなど、個別の周知・意向確認を行うに当たっての配慮を行」うことが望ましいとされています(A2-23)。

なお、「柔軟な働き方を実現するための措置」は令和7年10月1日から開始されますが、制度の個別周知、意向確認は、令和7年10月1日以降に制度対象である子が3歳以上小学校就学前の子を養育する労働者に対して行えばよく、必ずしも施行日より前において講ずる義務はありません。

次に「所定外労働の制限の対象拡大」についてみていきます。

「改正前は、3歳に満たない子を養育する労働者は、請求すれば所定外労働の制限(残業免除)を利用することができましたが、今回の改正では、3歳以上小学校就学前の子を養育する労働者についても請求すれば利用することができるようになります」(A2-28)。所定外労働の制限(残業免除)と同時に上記の「柔軟な働き方を実現するための措置」により選択された措置をを同時に請求することも可能です(A2-29)。たとえば所定外労働の制限と「柔軟な働き方を実現するための措置」として措置された短時間勤務制度を同時に利用することなどです。

「子の看護休暇・介護休暇の見直し」については、「今回の改正により、対象となる子の範囲を小学校第3学年修了(現行は小学校就学前)まで拡大するとともに、現行の取得事由である子の病気、けが、予防接種、健康診断に加えて、新たに感染症に伴う学級閉鎖や入園(入学)式及び卒園式にも取得が可能になります。なお、授業参観や運動会に参加する場合は、法的には子の看護等休暇の取得事由として認められません」(A2-32)。

また、「継続して雇用された期間が6か月未満の労働者を労使協定によって子の看護休暇や介護休暇の対象から除外することが可能とされていましたが、今回の改正により、継続して雇用された期間が6か月未満の労働者を労使協定によって子の看護等休暇や介護休暇の対象から除外する仕組みを廃止」されました(A2-34)。

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参考リンク

育児・介護休業法が改正されました~令和7年4月1日から段階的に施行~(厚生労働省HP)