世界のハローワークからVOL015:ハローワーク新宿

前回改正高年齢者雇用安定法の資料やQ&Aが公開されたことを取り上げました。今回は、Q&Aの中で、注目の内容を見ていきたいと思います。

⑨ 就業規則において、継続雇用しない事由や業務委託契約等を更新しない又は解除する事由を解雇事由とは別に定めることはできますか。別に定めることが可能な場合、創業支援等措置については、どこで定めることができるのでしょうか。
⇒ 高年齢者就業確保措置は努力義務であるため、「措置の対象者を限定する基準」として継続雇用しない事由や業務委託契約等を更新しない又は解除する事由を解雇事由とは別に定めることは可能です。
 継続雇用しない事由を定める場合は、…就業規則の記載事項である「退職に関する事項」に該当することとなります。…また、基準を設ける場合には過半数労働組合等の同意を得ることが望ましく、また、労使で協議の上設けた基準であっても、高年齢者雇用安定法の趣旨に反するものや公序良俗に反するものは認められません。
 また、創業支援等措置における業務委託契約等を更新しない又は解除する事由を定める場合には、省令第○条に定めるところにより、創業支援等措置の実施に関する計画の記載事項である「契約の終了に関する事項(契約の解除事由を含む)」に盛り込む必要があります。(創業支援等措置の実施に関する計画は、事業主が雇用する労働者数にかかわらず、当該措置を講ずる全ての事業主が作成する必要があります。)

このように、今回の就業確保措置については、公序良俗に違反してはなりませんが、「措置の対象者を限定する基準」を設けることが認められています。具体的な内容については⑫に示されています。

【適切ではないと考えられる例】
『会社が必要と認めた者に限る』(基準がないことと等しく、これのみでは本改正の趣旨に反するおそれがある)
『上司の推薦がある者に限る』(基準がないことと等しく、これのみでは本改正の趣旨に反するおそれがある)
『男性(女性)に限る』(男女差別に該当)
『組合活動に従事していない者』(不当労働行為に該当)
なお、対象者を限定する基準については、以下の点に留意して策定されたものが望ましいと考えられます。
[1]意欲、能力等をできる限り具体的に測るものであること(具体性)
労働者自ら基準に適合するか否かを一定程度予見することができ、到達していない労働者に対して能力開発等を促すことができるような具体性を有するものであること。
[2]必要とされる能力等が客観的に示されており、該当可能性を予見することができるものであること(客観性)
企業や上司等の主観的な選択ではなく、基準に該当するか否かを労働者が客観的に予見可能で、該当の有無について紛争を招くことのないよう配慮されたものであること。

最後に、創業支援措置に関するものを一つ取り上げましょう。

⑯ 創業支援等措置の契約については、1度に5年間分の契約を締結するのではなく、例えば 1 年分の契約を複数回繰り返し締結することにより、高年齢者の継続的な就業を確保することも可能でしょうか。その場合、どのような契約であれば「継続的に」と認められるのでしょうか。
⇒ 創業支援等措置の契約期間については、…創業支援等措置の実施に関する計画の記載事項である「契約に基づいて高年齢者が従事する業務の内容」及び「契約を締結する頻度に関する事項」に盛り込む必要があります。
 1 回あたりの契約内容・頻度については、個々の高年齢者の希望を踏まえつつ、個々の業務の内容・難易度や業務量等を考慮し、できるだけ過大又は過小にならないよう適切な業務量や頻度による契約を締結することに留意しつつ労使で合意をしていただくこととなりますが、…年齢のみを理由として 70 歳未満で契約を結ばないような制度は適当ではないと考えられます。
 したがって、「継続的に」契約を締結していると認められる条件は、
[1]70 歳を下回る上限年齢が設定されていないこと、
[2]70 歳までは、原則として契約が更新されること(ただし、能力や健康状態など年齢以外を理由として契約を更新しないことは認められます。)
であると考えられますが、個別の事例に応じて具体的に判断されることとなります。

なお、Q&Aでは、特殊関係事業主以外の他の事業主で継続雇用を行う場合の契約書と創業支援等措置による就業確保に関する契約書の例が掲載されていますので、参考にしてください。

お問い合わせはお気軽に。043-245-2288

参考リンク

高年齢者雇用安定法Q&A(高年齢者就業確保措置関係)(厚生労働省HP,PDF)