新水準のベースアップ評価料①

令和8年度診療報酬改定において、医療機関に勤務する職員の賃金改善のための「ベースアップ評価料」に係る要件の変更を行いました。賃上げに向けた評価の見直しの概要は以下の通りです。

  1. ベースアップ評価料の対象の拡大
    • 入院医療、外来医療および在宅医療等の医療提供体制を支える、保険医療機関等に勤務する幅広い職員の人材確保および確実な賃上げを実施する観点から、ベースアップ評価料の対象となる職員を拡大する。
      • 事務職員、40歳未満の医師・歯科医師・薬局薬剤師も対象とする。(経営者、役員等は除く。)
    • 歯科診療報酬において、歯科技工所の歯科技工士の確実な賃上げを図る観点から、歯科技工所ベースアップ支援料を新設する。
    • 調剤報酬において、薬局の薬剤師および事務職員等の確実な賃上げを図る観点から、調剤ベースアップ評価料を新設する。
  2. べースアップ評価料の評価体系の変更
    • 外来・在宅ベースアップ評価料、歯科外来・在宅ベースアップ評価料及び訪問看護ベースアップ評価料について、継続的に賃上げを実施している保険医療機関とそれ以外の保険医療機関において異なる評価を行う。
    • 全てのベースアップ評価料について、令和8年度及び令和9年度において段階的な評価とする。
  3. 入院料の見直し
    • 継続的な賃上げに係る評価を行う観点から、入院基本料等を引き上げる。
    • 令和6年度及び令和7年度において賃上げを実施している等の保険医療機関とそれ以外の保険医療機関を区別する観点から、入院基本料等に減算規定を新設する
  4. 賃上げに係る評価の使途の見直し
    • 夜勤職員の確保を行う観点から、看護職員処遇改善評価料及びベースアップ評価料による収入を、夜勤手当の増額に用いることを可能とする。

では、以下では無床診療所を念頭にみていくことにしましょう。

令和8年度改定における賃上げに係る評価のイメージは下図のとおりです。外来医療または在宅医療を実施している医療機関における賃上げ対応は、①新たな賃上げ目標に対応するための外来・在宅ベースアップ評価料の水準等の見直し、②令和6年度改定の外来・在宅ベースアップ評価料に相当する追加的評価の新設の2つの観点から、対応を行うものとされています。また、令和9年度においては、①に相当する点数が倍増されます。

①では、外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅰ)について、外来医療または在宅医療を実施している医療機関において、勤務する幅広い職員の人材確保および確実な賃上げを実施する観点から、ベースアップ評価料の対象となる職員を拡大した上で、評価が見直されます。

また、全てのベースアップ評価料について、令和8年度及び令和9年度において段階的な評価とし、継続的に賃上げを実施している保険医療機関とそれ以外の保険医療機関において異なる評価が行われます。すなわち、令和7年度以前から継続的に賃上げを実施し、ベースアップ評価料を届け出ていた医療機関等については、令和8年度診療報酬改定後も、令和6年度改定でのベースアップ評価料の評価を踏まえた報酬額が設定されます。

継続的に賃上げを実施した保険医療機関とは次の3つを満たすものを言います。

  • 令和8年3月31日時点でベースアップ評価料を届け出ている保険医療機関
  • 令和8年度の対象職員(医師・歯科医師を除く。)の、当該評価料を算定する月時点の基本給等を合計し、令和6年3月時点と比較した場合に、5.5%(看護補助者、事務職員については、8%)に相当する水準以上のベア等を行った保険医療機関
  • 令和9年度の対象職員(医師・歯科医師を除く。)の、当該評価料を算定する月時点の基本給等を合計し、令和6年3月時点と比較した場合に、8.7%(看護補助者、事務職員については、13.7%)に相当する水準以上のベア等を行った保険医療機関

また、ベースアップ評価料の算定要件・施設基準について、以下の変更が行われます。

中間・実績報告書に含めることのできるベースアップの範囲についてみていきましょう。

医療機関等においては、ベースアップ評価料の算定額を、ベースアップに充てる必要があります。ベースアップとは、賃金表の改定により、同じ年齢・職位の者の給与が前年度より引き上がることを意味するもので、年齢や勤続年数が増加したことによる給与の引き上げ(定期昇給)は、ベースアップに含まれません。なお、賃金表がない医療機関の場合は、給与規定や雇用契約に定める基本給等について、引上げを行うものとされています。

ベースアップ評価料の算定額を充てることのできる範囲は、「基本給等」(=基本給または決まって毎月支払われる手当の引上げ)の引き上げや、時間外手当・賞与などのうち基本給等に連動して引き上がる部分、基本給等の増加による法定福利費の事業主負担の増額分が含まれます。
なお、賞与のうち、業績に連動して引きあがるものについては「基本給等」の対象外です。また、年俸制で1年に1回定められ、毎月均等に支払われる報酬の1月当たり分は「基本給等」に該当します。

次に令和7年度以前から継続的に賃上げを実施した保険医療機関への評価についてみていきましょう。令和7年度以前から継続的に賃上げを実施し、ベースアップ評価料を届け出ていた医療機関等については、令和8年度診療報酬改定後も、令和6年度改定でのベースアップ評価料の評価を踏まえた報酬額が設定されます。すなわち、令和8年3月31日時点でベースアップ評価料を届け出ている保険医療機関であって、

  • 令和8年度の対象職員(医師・歯科医師を除く。)の、当該評価料を算定する月時点の基本給等を合計し、令和6年3月時点と比較した場合に、5.5%(看護補助者、事務職員については、8%)に相当する水準以上のベア等を行った保険医療機関
  • 令和9年度の対象職員(医師・歯科医師を除く。)の、当該評価料を算定する月時点の基本給等を合計し、令和6年3月時点と比較した場合に、8.7%(看護補助者、事務職員については、13.7%)に相当する水準以上のベア等を行った保険医療機関

については、外来・在宅ベースアップ評価料が段階的に設定され、高い点数となります。

なお、令和8年3月までにベースアップ評価料を届け出ていなかったが、相当する賃上げを行った場合の届出方法は次の通りです。

  • 基本給等総額の改善額について、令和6年3月時点との比較を算出して【様式98】に記載して届け出る。
  • 基本給等総額の改善額については、保険医療機関の勤務職員(医師・歯科医師を除く)について、「看護補助者・事務職員」と「それ以外」の両群で求められる水準(令和8年度であれば、令和6年3月の基本給等総額に対し、前者が5.5%、後者が8%)が異なっているが、両群を合わせた改善額が、両群に求められる額の合計以上となっていればよい

お問い合わせはお気軽に。043-245-2288

参考リンク

令和8年度診療報酬改定におけるベースアップ評価料等について(厚生労働省HP)

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