今回の記事、ざっくり言うと・・・

  • 独立行政法人労働政策研究・研修機構の調査では、「朝型勤務」について、20.4%の企業が「今後、検討余地がある」、30.9%の労働者が「希望する」との結果

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独立行政法人労働政策研究・研修機構(JIL)が「労働時間管理と効率的な働き方に関する調査」(企業調査)結果、および「労働時間や働き方のニーズに関する調査」(労働者調査)結果を公表しました。

そこで、今回は調査結果の内、現在注目されている「朝型勤務」に関する部分について取り上げたいと思います。

まず、「正社員の働き方を多様化・柔軟化することへの賛否を尋ねると、41.6%の企業及び59.2%の労働者が「賛成(どちらかというと含む)」と回答した」と報告されています。働き方が多様化するとなった場合、労務管理という視点からいえばそれだけ手間が増えることも考えられることが、企業がやや消極的となっている理由と考えられます。

また、今年にわかに注目されているいわゆる「朝型勤務」については、「始業時刻を8時等へシフトさせ、17~18時頃には必ず退社できるようにする「朝型勤務」については、20.4%の企業が「今後、検討余地がある」、30.9%の労働者が「希望する」と回答した」とされています。このように、労働者については一定のニーズがあるものの、多くの企業ではまだまだ導入には消極的であることが明らかになりました。

そもそも朝型勤務は、企業の事業形態によっても導入の難易が大きく異なります。個人間で業務の区分けがハッキリしているような事務関係の業務であれば導入しやすいことが多いと思われますが、グループで業務を遂行するような業種(建設業など)では、グループ全体でコンセンサスを得る必要があるため、その分導入は難しいでしょう。

本調査では、検討余地があるとした回答した企業について、業種別でみた結果も報告されています。それをみると、「朝型勤務」については、「「学術研究,専門・技術サービス業」や「情報通信業」「卸売業,小売業」等で多くなっている」とされています。「卸売業、小売業」で多いのは少し意外に思います。

朝型勤務は、まだ導入事例が少なく、他社の動向を伺いつつ検討しているという企業がほとんどだろうと思います。事業所全体でいきなりやろうとすると、遠隔地居住者や育児中の社員から反発を受ける可能性もあります。もともと「ワークライフバランス」の文脈の中で出てきた勤務形態ですので、社員の反発が大きければ、導入する意味もほとんどないことになりますので、導入するのであれば、受け入れられやすい制度設計にする必要があるでしょう。

導入しやすい例でいうと、始業・終業時刻の繰り上げにより、個人別に月〇回まで利用できるような制度が考えられます。導入した企業では、好評という報告もありますので、こういった新たな取り組みも利用して業務効率の向上を図ってみるという取組みも検討してみてはいかがでしょうか。

■関連リンク

労働時間管理と効率的な働き方に関する調査(企業調査)・ 労働時間や働き方の ニーズに関する調査(労働者調査)(JILHP、PDF)

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