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公益通報者保護法については、昨年改正法が成立し、現在令和4年6月1日の施行に向けて準備を進められており、8月には「公益通報者保護法第11条第1項及び第2項の規定に基づき事業者がとるべき措置に関して、その適切かつ有効な実施を図るために必要な指針」が公表されました。そこで、今回は、改正法の概要について紹介します。

今回の改正は、近年も社会問題化する事業者の不祥事が後を絶たたないことから、早期是正により被害の防止を図ることが必要であるとの考えのもとで法改正が行われました。

今回の改正では、事業者自ら不正を是正しやすくするとともに、安心して通報を行いやすくするために、つぎの措置を講じることが義務付けられます。

  • 事業者に対し、内部通報に適切に対応するために必要な体制の整備等(窓口設定、調査、是正措置等)を義務付け。具体的内容は指針を策定(中小事業者(従業員数300人以下)は努力義務)
  • その実効性確保のために行政措置(助言・指導、勧告及び勧告に従わない場合の公表)を導入
  • 内部調査等に従事する者に対し、通報者を特定させる情報の守秘を義務付け(同義務違反に対する刑事罰を導入)

また、行政機関等への通報を行いやすくするために、権限を有する行政機関への通報の条件について、現行の「信じるに足りる相当の理由がある場合の通報」に通報対象事実が生じ、若しくはまさに生じようとしていると思料し、かつ氏名等を記載した書面を提出する場合の通報が追加されます。また、報道機関等への通報の条件について、「通報者を特定させる情報が漏れる可能性が高い場合」と「財産に対する損害(回復困難又は重大なもの)が追加されます。

保護の対象者も、現行の労働者のほかに、退職者(退職後1年以内)や、役員(原則として調査是正の取組を前置)が追加されるとともに、通報に伴う損害賠償責任の免除されることが新たに明記されました。通報対象事実も刑事罰の対象となる事実に行政罰の対象になる事実が追加されます。

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参考リンク

公益通報者保護法と制度の概要(消費者庁HP)