今日の記事、ざっくり言うと・・・

  • 東京都が労働時間やその管理の状況について調査を実施
  • 労働時間の管理方法について、「一般労働者 については、『タイムカード・IC カード等』(62.2%)が最も多い
  • 定額残業制の導入率は10%弱程度とみられ、その時間数については、「30 時間以上~45 時間未満」が 26.7%と最も多くなっている

写真は記事の内容には関係ありません。

東京都が労働時間やその管理の状況について、都内3,000事業所、およびそこで働く正社員を対象に調査を実施し、結果を公表しました。そこで、今回はその結果の中で、注目すべきポイントを取り上げたいと思います。

1.労働時間の把握方法

労働時間の管理方法について、同調査では、「一般労働者 については、『タイムカード・IC カード等』(62.2%)が最も多く、次い で、『自己申告』(19.9%)、『上司が 確認・記録』(10.6%)となってい」ます。

ところで、先日策定された「労働時間適正把握ガイドライン」では例外的な労働時間の把握方法とされている「自己申告」ですが、上記のように約20%の事業所では、この方法を用いているようです。ガイドラインでは、自己申告制による場合には、労働者や労働時間を管理する者に対して、適正な自己申告・運用について十分説明を行うことや、入退上記録と自己申告の時間に著しいかい離がある場合に実態調査を行うこと等が定められており、今後運用方法については注意が必要です。

本調査によれば、「自己申告」では「正確に 把握されている」の割合が最も多いものの、タイムカードやICカードによる方法と比べて低くなっており、「会社の把握している労働時間は、実際よりも短い」との回答が共に 25%以上を 占めています。

2.36協定について

いわゆる36協定の締結については、「締結している」が 91.5%となっており、平成 20 年度の調査と比べて、12.8 ポイント 増加しています。近年長労働時間に関する報道で「36協定」という言葉もよく聞くようになりました。36協定は労務管理の最も基本的なもののひとつですが、認知度が上がったことにより、締結の割合も増加したのではないでしょうか。

では、その内容はどうでしょうか。本調査では、時間外労働の限度等に関する 基準に定められた限度時間(1 年 360 時間、1 ヵ月 45 時間)を 上限としている事業所が多くな っているとされています。

また、特別条項については、「ある」が 64.0%で、1年の延長時間は平均 571.3 時間、1 ヵ月では平均 71.1 時間でした。ただし、○○時間~○○時間というように分類された延長時間数をみると700時間~800時間が約2割と最も多くなっています。

興味深いのは、時間外手当の支給方法に関する項目で、「一定時間数分を定額で支給し、 これを超えた時間について支払う」が 8.9%となっている点です。これは、いわゆる定額残業制の導入率といってよいでしょう。

そして、その時間数については、「30 時間以上~45 時間未満」が 26.7%と最も多くなっており、また45時間未満の時間数を定めているのが約7割となっています。今後定額残業制の導入を検討する場合には参考になるでしょう。ただし、近年、裁判例などでは厳しく審査されている点には注意が必要です。

参考リンク

平成28年度  労働時間管理に関する実態調査(東京都産業労働局HP)

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