改正育児・介護休業法Q&Aが更新①

令和6年改正育児・介護休業法に関する Q&A が令和7年9月 24 日時点版に更新されました。そこで、今回は、改正された内容についてみていくことにしましょう。
Q2-4-2:シフト制を含む交替制勤務を行う労働者に、柔軟な働き方を実現するための措置は適用されますか。また、適用されるとした場合、どのような措置を講ずることが考えられますか。 ※令和7年1月 23 日 追加
A2-4-2:シフト制を含む交替制勤務を行う労働者も柔軟な働き方を実現するための措置の対象となります。
また、シフト制を含む交替制勤務の形態は多岐にわたることから一概にお答えすることは困難ですが、一般論として、例えば交替制勤務(例:早番9時~17 時、遅番 13 時~21 時)の労働者について、通常であればいずれの勤務時間帯も一定割合以上の勤務が求められる場合に、希望したものは早番勤務のみとすることを認める措置は、新制度(柔軟な働き方を実現するための措置)のうち「始業時刻等の変更」を措置したこととなります。
なお、シフト制を含む交替制勤務であることで各労働日の始業・終業時刻が(上記例のように早番、遅番で)異なることをもって「始業時刻等の変更」が措置されたことにはなりません。また、始業又は終業の時刻を繰り上げ又は繰り下げる時間の範囲について一律の制限はありませんが、保育所等への送迎の便宜等を考慮して通常の始業又は終業の時刻を繰り上げ又は繰り下げる制度である必要があります。
シフト制を含む交替制勤務の職場においては、テレワーク等を行うことが困難な場合も想定されますが、そのようなテレワーク等を行うことが業務の性質上困難な労働者については、それ以外の選択肢(「始業時刻等の変更(フレックスタイム制又は時差出勤)」、「短時間勤務制度」、「養育両立支援休暇の付与」、「保育施設の設置運営等」)から2以上を選択して措置することが求められます。
シフト制を含む交替制勤務を行う労働者も柔軟な働き方を実現するための措置に関するものです。前段では、交代制勤務の労働者について、通常であればいずれの勤務時間帯も一定割合以上の勤務が求められる場合に、希望したものは早番勤務のみとすることを認める措置は、「柔軟な働き方を実現するための措置」のうち「始業時刻等の変更」を措置したと認められることが示されました。
Q2-6:「柔軟な働き方を実現するための措置」について、事業主は正規・非正規雇用労働者間で異なる措置を選択してもよいですか。 ※令和7年9月 24 日 回答一部修正(下線部)
A2-6:「柔軟な働き方を実現するための措置」について、正規・非正規雇用労働者間で異なる措置を選択して措置する場合、パートタイム・有期雇用労働法により、
(a)職務の内容、
(b)職務の内容・配置の変更の範囲、
(c)その他の事情
のうち、その待遇の性質及び目的に照らして適切と認められるものを考慮して、不合理な待遇差に当たらないようにすることが求められます。併せて、正規・非正規雇用労働者間で異なる取扱いをする場合には、短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律(平成5年法律第 76 号)第 14 条第2項及び事業主が講ずべき短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する措置等についての指針(平成 19年厚生労働省告示第 326 号)にのっとり、事業主においてその差異の理由を労働者に対して合理的に説明できなければなりません。
本Q&Aの改正は単に根拠となる法令が追加されただけで、実質的な変更はありません。
Q2-7-2:パートタイム労働者等の労働契約上1日の所定労働時間が6時間以下とされている者(「パートタイム労働者等」という。)の場合、当該短時間勤務制度の選択肢は措置済みと理解してよろしいでしょうか。または、短時間勤務制度以外で、2つ以上の措置を実施しなければならないのでしょうか。
※令和7年1月 23 日 追加、令和7年9月 24 日 一部修正(下線部)
A2-7-2:パートタイム労働者等についても、新制度(柔軟な働き方を実現するための措置)の対象となるところ、事業主が短時間労働者も含めて、①短時間勤務制度(1日の所定労働時間を少なくとも6時間に短縮できるもの)(※)と②それ以外の4つの選択肢のいずれかの措置で①②合わせて2つ以上講じた場合、新制度(柔軟な働き方を実現するための措置)の措置義務を履行したこととなります。なお、労働者の労働契約上の1日の所定労働時間が6時間以下であることをもって「短時間勤務制度」の措置を講じたことにはならず、事業主は短時間勤務制度を含む5つの選択肢の中から、2つ以上を選択して措置する義務があります。
(中略)※ 柔軟な働き方を実現するための措置や子が3歳未満の労働者を対象とする育児・介護休業法第 23 条に基づく措置としての短時間勤務制度については、1日の所定労働時間を原則として6時間とする措置を含むものとした上で、1日の所定労働時間を5時間とする措置又は7時間とする措置、1週間のうち所定労働時間を短縮する曜日を固定する措置、週休3日とする措置等も併せて講ずることが望ましいとされています。
労働者が1日の所定労働時間が6時間以下であることをもって「短時間勤務制度」の措置を講じたことにはならないとしたものです。
Q2-7-3:パートタイム労働者等の労働契約上1日の所定労働時間が6時間以下とされている者(以下「パートタイム労働者等」という。)について、①短時間勤務制度(1日の所定労働時間を少なくとも6時間に短縮できるもの)(※)と②それ以外の4つの選択肢のいずれかの措置とで合わせて2つの措置を事業主が講じ、かつ、当該パートタイム労働者等が②の措置を選択した場合、労働契約上の1日の所定労働時間(6時間以下)を変更しないまま、②の措置を利用できることになるのでしょうか。
※令和7年9月 24 日 追加
A2-7-3:パートタイム労働者等は、労働契約上の1日の所定労働時間(6時間以下)を変更しないまま、②の措置を利用できることとなります。
事業主が、「柔軟な働き方を実現するための措置」として、①短時間勤務制度(1日の所定労働時間を少なくとも6時間に短縮できるもの)(※)と②それ以外の4つの選択肢のいずれかの措置とで合わせて2つの措置を講じた場合、パートタイム労働者等についても、①短時間勤務制度と②の措置のいずれを利用するかを選択する権利を有することになります。
その際、②の措置のうち「始業時刻等の変更」「テレワーク等」「養育両立支援休暇」については、労働契約上の1日の所定労働時間を変更することなく利用できるものである必要があるため、当該パートタイム労働者等は、労働契約上の1日の所定労働時間(6時間以下)を変更することなく、②の措置を利用することができます。
「保育施設の設置運営等」については、措置の適用前後で所定労働時間を変更することなく利用できることを求める法令上の規定はありませんが、労働者の職種や業務内容等から利用できないことがあらかじめ想定できるものを措置することは、事業主が措置義務を果たしたとは認められないことに留意が必要です。(詳細は Q2-5 をご参照ください。)
なお、柔軟な働き方を実現するための措置を利用する前の時点において、子が3歳未満の労働者を対象とする育児・介護休業法第 23 条に基づく措置として既に短時間勤務制度(※)を利用している場合には、柔軟な働き方を実現するための措置の選択に際して、短時間勤務制度の利用を継続するか、短時間勤務制度の利用をやめて、②の措置を利用するかを選択することとなります。※ 柔軟な働き方を実現するための措置や子が3歳未満の労働者を対象とする育児・介護休業法第 23 条に基づく措置としての短時間勤務制度については、1日の所定労働時間を原則として6時間とする措置を含むものとした上で、1日の所定労働時間を5時間とする措置又は7時間とする措置、1週間のうち所定労働時間を短縮する曜日を固定する措置、週休3日とする措置等も併せて講ずることが望ましいとされています。
新設問です。パートタイム労働者の場合であっても、「柔軟な働き方を実現するための措置」を1つ選択することができます。
Q2-7-4:3歳以上小学校就学前までの子を養育する労働者に対して「柔軟な働き方を実現するための措置」として2つの措置を講じている事業主は、当該労働者が、講じた 2 つの措置の一方の措置を一定期間利用し、当該期間の経過後は他方の措置を利用したい旨申し出た場合、これを認めなればいけませんか。 ※令和7年9月 24 日 追加
A2-7-4:3歳以上小学校就学前までの子を養育する労働者は、事業主が講じた2つ以上の措置のうちいずれを利用するかを選択することができるところ、当該措置の利用開始後、当該労働者からの申出による変更を認めることは法律上特に義務付けられているものではないものの、他方で、措置の利用開始後に労働者の家庭や仕事の状況が変化する場合もあることから、当該労働者が選択した措置が当該労働者にとって適切であるかを確認すること等を目的として、定期的に面談等を実施することが望ましいとされています。
これを踏まえ、当該措置の利用開始後においても、定期的に労働者の家庭や仕事の状況を把握し、利用している措置が就業しつつ子を養育することを実質的に容易にする内容になっていない場合には、利用する措置の変更を含め柔軟に対応することが望ましいです。
新設問です。本設問では、「当該労働者が、講じた 2 つの措置の一方の措置を一定期間利用し、当該期間の経過後は他方の措置を利用したい旨申し出た場合」について事業主は応じなければならないのかどうかについて、「法律上特に義務付けられているものではない」ことが明らかにされたことに意義があります。



