派遣労働者の就業場所は派遣先であり、待遇に関する派遣労働者の納得感を考慮するため、派遣先の労働者との均等(=差別的な取扱いをしないこと)、均衡(=不合理な待遇差を禁止すること)は重要な観点です。しかし、この場合、派遣先が変わるごとに賃金水準が変わり、派遣労働者の所得が不安定になることが想定されます。また、一般に賃金水準は大企業であるほど高く、小規模の企業であるほど低い傾向にありますが、派遣労働者が担う職務の難易度は、同種の業務であっても、大企業ほど高度で小規模の企業ほど容易とは必ずしも言えないため、結果として、派遣労働者個人の段階的・体系的なキャリアアップ支援と不整合な事態を招くこともあり得ます。
こうした状況を踏まえ、派遣労働者の待遇について、派遣元事業主には、派遣先均等・均衡方式(派遣先の通常の労働者との均等・均衡待遇)または労使協定方式(一定の要件を満たす労使協定による待遇)のいずれかを確保することが令和2年4月より義務化されました。
このうち「労使協定方式」とは、派遣元において、労働者の過半数代表者等と一定の要件を満たす労使協定を締結し、当該協定に基づいて派遣労働者の待遇を決定する方式です。労使協定に定める「賃金」については、職業安定局長通知で示される、派遣労働者と同種の業務に同一の地域で従事する一般労働者の平均賃金と同等以上になるように決定するとともに、昇給規程等の賃金改善の仕組みを設ける必要があるところ、令和7年度に適用される令和7年度一般賃金水準(一般基本給・賞与等)が公表されました。
職業安定業務統計の職業計は、1,248円で令和6年度から30円上昇、賃金構造基本統計調査の産業計は、1,320円で令和6年度から44円上昇(昨年度より上がる職種:85職種、下がる職種:44職種)となります。
また、一般賃金水準に用いる各指数等が更新されます。今年度は「5.退職手当に関する調査」について2つの調査が更新されたこと、さらに「4.一般通勤手当」が72円から73円に引き上げられることに注意が必要です。