無期転換ルールの制度利用が進まない実態

厚生労働省内に設置されている「多様化する労働契約のルールに関する検討会」に、「無期転換ルールと多様な正社員の雇用ルール等に関する実態調査の概況」が提出されました。今回はそのなかで、無期転換ルールの動向についてみていくことにしましょう。

無期転換ルールによる無期転換を申込む権利が生じた人がいる事業所のうち、「実際に無期転換申込権を行使した労働者がいる事業所」の割合は35.9%でした。一方、無期転換申込権を行使しなかった労働者のうち「継続雇用されている労働者がいる事業所」の割合は80.4%となりました。

また、無期転換ルールにより無期転換申込権が生じた人のうち、「無期転換を申込む権利を行使した人」は約3割、「申込権を行使せず継続雇用されている人」は6割超、「既に退職している人」は1割未満となりました。申込権の行使の割合には、企業規模による差も見られます。無期転換ルールにより無期転換申込権が生じた人のうち、「無期転換を申込む権利を行使した人」の割合が最も高いのは「1,000人以上」の企業規模で約4割である一方、最も割合が低いのは「5~29人」の企業規模であり、1割未満でした。これは企業規模が大きいほど労務担当者が無期転換ルールの内容を知っているとか、有期雇用者が多い方が権利行使しやすいなどいくつかの理由が考えられます。

このように無期転換ルールは全体として利用が進んでおらず、特に中小企業では利用が進んでいない実態が明らかになりました。さらに、2018年度では「無期転換申込権を行使した人」の割合は32.4%であったのに対し、2019年度は19.8%と、むしろ減少しました。これは、無期転換申込権が本格的に発生した当初はマスコミなどの報道もあって権利行使が一定程度みられたものの、時間がたつにつれて徐々に忘れられてしまっているのが現状といえそうです。

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参考リンク

多様化する労働契約のルールに関する検討会 第5回資料(厚生労働省HP)

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