厚生労働省が「特別休暇導入事例集2023」を公開しました。
特別休暇制度とは、労使による話し合いを通じて、休暇の目的や取得形態を任意に設定できる法定外休暇を指します。病気休暇やボランティア休暇などのほか、従前から多くの企業で導入のみられる慶弔休暇や夏季休暇も、企業により任意に設定された特別休暇です。
なお、いわゆる失効年次有給休暇の積立休暇とは、時効となった年次有給休暇をやむなく積み立て、病気や介護など使用目的を限定した特別休暇とすることをいいます。積立休暇は、年次有給休暇の取得が促進されるにしたがって、積
み立てられる休暇は減ることが考えられますので、年々上昇傾向にある年次有給休暇の取得率(令和5年の調査(令和4年の状況)では62.1%でした(厚生労働省「令和5年就労条件総合調査」))をふまえれば、年次有給休暇の取得の促進も図りながら、予測できない事情に備えたい場合には、積立休暇とは別に特別休暇を設定することも検討することも考えられます。
そこで、この事例集では、次の3つに分類して紹介しています。
- 年次有給休暇の取得促進に資する特別休暇(年次有給休暇とは別に有給で設けられていることで、体調不良等に備えた年次有給休暇の取得控えを防止し、年次有給休暇の取得促進につながっている特別休暇
- 病気休暇(有給)
- 家族の看護等のための休暇(有給)等
- 予測できない事情に備えた特別休暇(予測できない事情や思いがけない事態などが生じた際に、安心して休めるようにするための特別休暇)
- 裁判員休暇
- 犯罪被害者等の被害回復のための休暇
- 災害休暇(被災時の休暇)
- 病気休暇
- 家族の看護等のための休暇 等
- 従業員の多様な活動を支援する特別休暇(従業員のボランティアや地域活動、自己啓発などを後押しする、もしくはそのきっかけづくりとなる特別休暇)
- ボランティア休暇
- ドナー休暇
- 自己啓発休暇 等
なお、特別休暇の導入状況は次の通りです。
たとえば、株式会社大清(~29人)では、「二次検診特別休暇」を創設し、定期健康診断で有所見となった従業員に、有給で二次健診特別休暇(原則半日)を付与し、定期健康診断(一次健診)の結果が出てから1か月の期限付きとすることで、二次健康診断の迅速な受診を後押しをしています。また、オプション検査の費用負担や、三大疾病対策保険の加入、仕事と治療の両立のサポートなども行っており、従業員の健康を大事にする社風が会社の魅力になっているとしています。有所見者の再検査等については本人任せにしているケースもすくなくないのですが、この会社のように休暇制度を設けて積極的に推奨することは、従業員にとっても受診の後押しとなるでしょう。
このように特別休暇は自社のニーズをくみ取って作ることが重要です。本事例集も参考に、自社に適した休暇づくりを検討してみてはいかがでしょうか。
参考リンク
厚生労働省「特別休暇制度導入事例集2023」(厚生労働省HP)