今日の記事をざっくり言うと・・・

  • 厚生労働省が労働基準行政の活動状況についてまとめた年俸「平成28年労働基準監督年報」を公表
  • 平成28年中に、労働基準監督官が事業場に赴き、監督を実施した件数は、169,623件であり、平成27年とほぼ同水準
  • 監督指導の内訳について見ると、定期監督等を実施した事業場数134,617件、業種別にみると、建設業が最多

世界の労働基準監督署からVOL005:那覇労働基準監督署

厚生労働省が労働基準行政の活動状況についてまとめた年俸「平成28年労働基準監督年報」を公表しました。本報告書によれば、「全国の労働基準監督署には、賃金不払、解雇や雇止めといった問題に関する申告・相談が依然として数多く寄せられて」いるという認識のもとで、①労働条件の確保・改善対策、②労働者の安全と健康の確保対策、③賃金対策、④労災補償に重点を置いて対策を講じたとしています。

では、監督指導の状況はどうなっているのかというと、平成28年中に、労働基準監督官が事業場に赴き、監督を実施した件数は、169,623件であり、平成27年の169,236とほぼ同水準となっています。

監督指導の内訳について見ると、定期監督等を実施した事業場数134,617件、業種別にみると、建設業が44,279件と最も多く、全体の32.9%を占め、次いで製造業36,107件(同26.8%)、商業16,714件(同12.4%)、運輸交通業7,779件(同5.8%)、保健衛生業7,450件(同5.5%)の順となっています。

そして、監督実施事業場のうち、何らかの法違反があったものは、89,972件で違反率は66.8%となっています。全体の約7割がなんらかの労働基準法関係法令に違反しているというわけです。中でも多いのは、労働時間に関する違反率が31.5%で最も高く、次いで安全基準26.3%、健康診断21.9%、割増賃金20.9%、労働条件の明示15.3%、賃金台帳11.3%の順になっています。

一方、申告監督では、賃金不払が21,700件で最も多くなっており、やはり未払い残業代などについては、監督署へ申告されやすいといえます。

最後に、司法処分として検察庁に送検した件数は、890件であり、その内訳は、労基法違反が380件で全体の42.7%を占めており、業種別にみると、建設業が309件で全体の34.7%を占め最多でした。

このように、建設業については危険の多い業務であるという性質上ということもありますが、やはり監督指導の対象となりやすく、また違反も多い傾向があるようです。今年からは、36協定の未提出事業への指導が民間に委託され、労働行政に触れる機会が今後増加していくことが考えられます。

参考リンク

平成28年労働基準監督年報(厚生労働省HP、PDF)

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