世界の年金事務所からVOL11:池袋年金事務所

厚生労働省に設置されている「働き方の多様化を踏まえた社会保険の対応に関する懇談会」が、議論の取りまとめの案を9月20日に提出しました。

特に注目されるのが、短時間労働者(パートタイマ―)への健康保険・厚生年金保険の適用拡大について、どのような方針が示されるのでしょうか。特に2014年および 2019年の財政検証のオプション試算においては、適用拡大の具体的内容に関して複数の仮定を置いた上で、上述の基礎年金水準の確保の効果が具体的に示されました。すなわち、直近の2019年財政検証では、拡大内容に係る仮定をより充実 させた上で、基礎年金の調整期間が1~8年短縮され、調整終了後の所得代替率は 0.5~4.8%改善することが示されたことも(経済前提ケースⅢの場合)、適用拡大の議論に影響を与えるものと思われます。

そのうえで、対象事業所の規模要件については、結論として次のようにまとめられています。

被用者にふさわしい保障の確保や経済活動への中立性の維持、法律上経過措置としての規定となっていることなどの観点から、本来的な制度のあり方としては撤廃すべきものであるとの位置づけで対象を拡大していく必要性が示された。また、現実的な問題として、事業者負担の大きさを考慮した上で、負担が過重なものとならないよう、 施行の時期・あり方等における配慮や支援措置の必要性について指摘された。

このように、現在は適用拡大の対象となるのは501人以上の事業所となっていますが、このように、今後対象を拡大する方向で議論が進んでいくとみられます。なお、対象となる労働者の範囲については、論点ごとに改正の方向性がいくつか示されたにとどまりました。今後の議論を待つ必要があるようです。

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参考リンク

第8回働き方の多様化を踏まえた社会保険の対応に関する懇談会(厚労省HP)