厚生労働省が「『研修・教育訓練』 等が労働時間に該当するか否か」について、実際の相談事例をもとに解説するリーフレットを公表しました。今回は、このリーフレットを元に「研修・教育訓練」の時間が労働時間に該当するのかどうかについて取り上げます。

まず、基本的な考え方は研修・教育訓練について、業務上義務づけられていない自由参加のものであれば、その研修・教育訓練の時間は、労働時間に該当しません。

リーフレットで紹介された「労働時間に該当しない事例」は次の通りです。

  • 終業後の夜間に行うため、弁当の提供はしているものの、参加の強制はせず、また、 参加しないことについて不利益な取扱いもしない勉強会。
  • 労働者が、会社の設備を無償で使用することの許可をとった上で、自ら申し出て、一人でまたは先輩社員に依頼し、使用者からの指揮命令を受けることなく勤務時間外に行う訓練。
  • 会社が外国人講師を呼んで開催している任意参加の英会話講習。なお、英会話は業務とは関連性がない。

一方、「労働時間に該当する事例」は次の通りです。

  • 使用者が指定する社外研修について、休日に参加するよう指示され、後日レポートの提出も課されるなど、実質的な業務指示で参加する研修。
  • 自らが担当する業務について、あらかじめ先輩社員がその業務に従事しているところを見学しなければ実際の業務に就くことができないとされている場合の業務見学

リーフレットでは、最後に次のようなアドバイスを掲載しています。「労働時間に該当しないとする場合には、上司がその「研修・教育訓練」を行うよう指示しておらず、かつ、その「研修・教育訓練」を開始する時点において本来業務や本来業務に不可欠な準備・後処理は終了しており、労働者はそれらの業務から離れてよいことについて、あらかじめ労使で確認してお」くこと。「具体的には、「研修・教育訓練」について、通常の勤務場所とは異なる場所を設けて行うことや、通常勤務でないことが外形的に明確に見分けられる服装により行うことなどを定め、こうした取扱いの実施手続を書面により明確化することが望ましいと考えられます」。 このように、客観的にわかりやすく区分できるようにするのも一つの工夫といえるでしょう。

もっとも、現実にはもっと微妙な事案であることがほとんどだと思います。そのような場合には、本リーフレットも参考に労働時間に該当するのかしないのか、説明できるような裏付けを持っておくことが大切です。

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参考リンク

リーフレット「労働時間の考え方:「研修・教育訓練」等の取扱い」(厚労省HP、PDF)