世界の年金事務所からvol006:市川年金事務所

社会保険の短時間労働者への適用拡大として、令和4年10月から「特定適用事業所」の要件が、被保険者総数が常時500人を超える事業所から、被保険者総数が常時100人を超える事業所となります。時期的にもそろそろ準備を始めなければならない時期ですので、今回は、その概要を紹介したいと思います。

施行日から特定適用事業所に該当する適用事業所は、令和3年10月から令和4年8月までの各月のうち、使用される厚生年金保険の被保険者の総数が6か月以上100人を超えたことが確認できる場合は、機構において対象の適用事業所を特定適用事業所に該当したものとして扱い、8月頃に対象の適用事業所に対して「特定適用事業所該当事前のお知らせ」を送付し、同年10月ごろに対象の適用事業所に対して「特定適用事業所該当通知書」が送付されます。

この場合、特定適用事業所該当届の届出は不要ですが、適用拡大の実施に伴い、新たに被保険者資格を取得する短時間労働者がいる場合は、各適用事業所がその者に係る被保険者資格取得届を事務センター等へ届け出る必要があります。

施行日以降は、機構において、使用される厚生年金保険の被保険者の総数が直近11か月のうち、5か月100人を超えたことが確認できた場合(5か月目の翌月も被保険者数が100人を超えると特定適用事業所に該当する場合)は、対象の適用事業所に対して、「特定適用事業所に該当する可能性がある旨のお知らせ」が送付されます。

なお、「施行日に特定適用事業所に該当する旨のお知らせ」や「特定適用事業所該当通知書」が送付されてきたが、施行日前に、被保険者の総数が100人を超えなくなった場合、「特定適用事業所不該当届」を、事務センター等へ届け出ることにより、特定適用事業所に該当したことを取り消すことができます。

特定適用事業所に該当することにより、4分の3基準を満たさない場合であっても、以下の①から⑤までの5つの要件を満たす短時間労働者については、厚生年金保険・健康保険の被保険者となります。

  1. 1週の所定労働時間が20時間以上であること。
  2. 月額賃金が8.8万円以上であること。
  3. 学生でないこと。
  4. 以下のいずれかの適用事業所に使用されていること
    • 特定適用事業所
    • 労使合意により事業主が適用拡大を行う旨の申出を行った特定適用事業所以外の適用事業所(国又は地方公共団体の適用事業所を除く。)
    • 国または地方公共団体の適用事業所

ここで、誤解しやすいのは、「1週の所定労働時間」および「1月の所定労働日数」が、同一の事業所に使用される通常の労働者の所定労働時間及び所定労働日数の4分の3以上(以下「4分の3基準」という。)という基準は、適用拡大後も残っているということです。したがって、「学生であっても、適用事業所に使用され4分の3基準を満たす場合は、…健康保険・厚生年金保険の被保険者となります」(問34答)。

お問い合わせはお気軽に。043-245-2288

参考リンク

令和4年10月からの短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用の拡大(日本年金機構HP)