労働政策審議会職業安定分科会労働力需給制度部会に医療等3分野の集中指導監督実施状況が報告されました。
今回の指導監督は、お祝い金等を提供することを禁止する規定や、職業紹介事業者がその紹介により無期雇用就職した者に対し2年間の転職の勧奨を禁止する規定の遵守等が徹底されるよう、医療等3分野を扱う職業紹介事業者に対する集中指導を実施したものです。
お祝い金に関する指導事例は25件あり、たとえば次のような事例がありました。
- 面接実施時に電子ギフトカード(数千円)を支給
- 知人を紹介した人、紹介されて求職登録した人それぞれに対して旅行券(数万円)や電子ギフトカード(数千円)を支給
- 資格取得費用又は研修講座受講費用(数万円程度)のキャッシュバックを実施
- 紹介により就職し一定期間後にアンケート回答した場合に支給(数万円程度)
- 求職登録し就職した者を対象とした無料宿泊券の支給
なお、職業紹介事業ではなく兼業する募集情報等提供事業の利用者を対象とするものは指導対象外の事案とされています。
このほか指導件数が多いものに、事業情報の明示、公開に関する指導事例があります(551件)。
- 人材サービス総合サイトへの事業情報不掲載、または内容が不明瞭、実際のものと相違があったもの
- 無期雇用就職のうち離職した者の数
- 無期雇用就職のうち離職が明らかでない者の数
- 無期雇用就職者の数
- 手数料に関する事項
- 返戻金制度に関する事項
- 以下について求人者及び求職者に対し書面により明示していない
- 取扱職種の範囲等
- 手数料に関する事項
- 苦情の処理に関する事項
- 求人者の情報
- 求職者の個人情報の取扱いに関する事項
- 返戻金に関する事
また、手数料に関する指導事例も409件と、比較的多くなっており、以下のようなものが紹介されています。
- 厚生労働大臣に届け出た手数料表の上限を超える手数料額を徴収(手数料表の変更届提出なし)
- 求人者及び求職者に対して手数料に関する事項を書面等で明示していない
- 人材サービス総合サイトへの情報不掲載、または内容が不明瞭・実際のものと相違あり
以上のような指導監督の結果等を踏まえ、今後は、どのような追加的対応策を講ずる必要があるかが議論されます。たとえば、法令順守徹底のためのルールと施行の強化として、お祝い金・転職勧奨禁止の実効性確保や募集情報等提供事業に係る対応などが検討されることになります。
参考リンク
第369回労働政策審議会職業安定分科会労働力需給制度部会 資料(厚生労働省HP)