厚生労働省が、令和3年に全国の労働局や労働基準監督署がトラック、バス、タクシーなどの自動車運転者を使用する事業場に対して行った監督指導や送検等の状況について公表しました。

令和3年に監督指導を実施した事業場は3,770事業場でした。このうち、労働基準関係法令違反が認められたのは、3,054事業場(81.0%)、また、改善基準告示違反が認められたのは、2,010事業場(53.3%)に上りました。

労働基準関係法令違反事項で最も多いのは、労働時間(45.1%)で、次に割増賃金の支払(21.2%)、時間把握(7.5%)が続きます。また、改善基準告示違反事項で最も多いのは、最大拘束時間(39.1%)で、次に総拘束時間(29.7%)、休息期間(27.5%)が続きました。

重大・悪質な労働基準関係法令違反により送検したのは42件でした。

また、監督指導事例では、「労働時間を適正に把握していないことが疑われる運送会社に対する監督指導」が紹介されています。この事例では、運転者に係る荷積時間等が把握されておらず、適正な労働時間管理が行われていなかったこと、また、支払われていた割増賃金額は、把握されていた範囲の時間外・深夜労働時間数で計算した額に満たないものであり、割増賃金の支払いが不足していたこと、さらに労働時間の一部が業務委託として作業を行った時間として取り扱われており、賃金が適切に支払われていないことが認められたものでした。

指導後は、就業規則、賃金形態、雇用契約書の見直しを行い労働条件の整備を行い、デジタルタコグラフの導入、労働時間記録の方法について社員教育を行うことで、労働時間を適正に把握するとともに、労働時間の実態調査を行い、未払いが認められたものについては、遡及支払いを実施、労働時間の一部を業務委託として作業を行った時間として取り扱うことはやめ、実態に即して、労働時間として取り扱うことにしたとされています。

お問い合わせはお気軽に。043-245-2288

参考リンク

自動車運転者を使用する事業場に対する令和3年の監督指導、送検等の状況を公表します(厚生労働省HP)