• 厚生労働省が、裁量労働制を採用している事業場において事業主自ら点検することを目的として実施していた自主点検の結果を公表
  • 企画業務型裁量労働制では、「個別の営業活動など、対象業務以外の業務に就かせている」、「対象労働者の業務に対象業務以外の業務が含まれている」など業務に関するものが最多で2.7%
  • 専門業務型裁量労働制では、「労使協定を周知していない」、「対象労働者のみに周知」が最多で4.9%

世界の労働基準監督署からVOL017:三田労働基準監督署

厚生労働省が、裁量労働制を採用している事業場において法令に従った運用がなされているかどうかを事業主自ら点検することを目的として、本年2月より実施していた自主点検の結果を公表しました。

労働基準監督機関は、事業主が自主的に必要な改善を図ることを促すとともに、自主点検結果を踏まえ、自主点検結果報告書未提出事業場、労働基準法違反や指針に反する疑いがあるなど、運用の改善が必要と考えられる事業場などに対して重点監督を実施するとしています。

今回の 自主点検対象事業場数は12,167(企画業務型 : 2,917 専門業務型 : 9,250)に上ります。実施結果をみると、「自主点検の結果、改善が必要と考えられる事業場」は少数にとどまっているように見えます。いかでは、問題の多かった事項についてみていくことにしましょう。

企画業務型裁量労働制では、「個別の営業活動など、対象業務以外の業務に就かせている」、「対象労働者の業務に対象業務以外の業務が含まれている」など業務に関するものが74事業場(2.7%)、「日常的に上司が具体的な指示をしたり、業務遂行の手段について指示する場合がある」、「始業・終業時刻を定めており、それを遵守させる場合がある」、「業務量が過大であったり、期日の設定が不適切」など裁量制に関して問題があるとみられるものが71事業場(2.5%)となっています。

一方、専門業務型裁量労働制では、「労使協定を周知していない」、「対象労働者のみに周知」が389事業場(4.9%)と最も多く、「最長の者の労働時間の状況が相当程度長いもの」が354事業場(4.4%)、「法定休日労働、深夜労働がある場合で36協定(休日)が未締結、割増賃金が未払」、「法定休日労働時間・深夜労働時間を把握していないもの」が335事業場(4.2%)と、制度の周知、労働時間に関して問題があるとみられる例が多いという結果です。

裁量労働制の適用者の過労死が発覚したことに端を発するとみられる今回の調査で、裁量労働制における問題点になりやすい点がわかります。調査対象ではなくても、自社でもチェックしてみてはいかがでしょうか。

参考リンク

裁量労働制の運用の適正化に向けた自主点検の結果について公表します(厚生労働省HP)

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