世界の労働基準監督署からVOL019:水戸労働基準監督署

厚生労働省が「裁量労働制実態調査」の結果を公表しました。「裁量労働制実態調査」は、裁量労働制の制度の趣旨に適った対象業務の範囲や働く方の裁量と健康を確保する方策等についての検討に資するため、専門業務型及び企画業務型それぞれの裁量労働制の適用・運用実態や裁量労働制の適用・非適用による労働時間の差異等を把握することを目的としたものです。

はじめに適用事業場に関する調査結果についてみてみましょう。適用労働者がいる適用事業場における1か月の労働時間の状況の平均(1人当たり)は171時間36分、1日の労働時間の状況の平均は8時間44分、1か月の労働日数の平均(1人当たり)は19.64日でした。

これに対して非適用事業場における1か月の労働時間の平均(1人当たり)は169時間21分、1日の労働時間の平均は8時間25分、1か月の労働日数の平均(1人当たり)は20.12日でした。労働時間の状況については、裁量労働制が適用されている事業場の方が1か月で1時間10分程度長いという結果でした。

次に、裁量労働制に対する意見別事業場割合は、専門型裁量労働制の適用労働者がいる適用事業場においては、「特に意見はない」(39.5%)が最も高く、次いで、「今のままでよい」(37.9%)、「制度を見直すべき」(15.8%)でした。また、企画型裁量労働制の適用労働者がいる適用事業場においては、「制度を見直すべき」(39.7%)が最も高く、次いで、「今のままでよい」(33.9%)、「特に意見はない」(23.8%)でした。このように、「企画型裁量労働制」では3分の1が、なんらかの問題意識を持っていることがわかりました。

次に、適用労働者に関する調査をみてみましょう。適用労働者における1週間の平均労働時間数は45時間18分、1日の平均労働時間数は9時間0分、1週間の平均労働日数は5.03日でした。これに対して、非適用労働者における1週間の平均労働時間数は43時間2分、1日の平均労働時間数は8時間39分、1週間の平均労働日数は4.97日でした。事業場単位だけでなく労働者単位でも、裁量労働制が適用されている場合には、やや労働時間が長い傾向がありました。

なお、裁量労働制に対する意見別労働者割合は、専門型裁量労働制の適用労働者も企画型裁量労働者も「今のままでよい」が最も高く、それぞれ33.0%と41.0%でした。ただし、「制度を見直すべき」とする割合も28.3%と26.0%あり、少なくない割合の適用労働者が制度の見直しが必要と考えている点にも留意すべきでしょう。

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参考リンク

「裁量労働制実態調査」の結果を公表します(厚生労働省HP)