多様な働き方を選択する方やパート労働者等で複数就業している方が増えているなど、副業・兼業を取り巻く状況の変化を踏まえ、複数事業労働者の方が安心して働くことができるような環境を整備する観点から、労働者災害補償保険法が改正され、2020年9月から施行されます。

今回の改正により、複数事業労働者の方やその遺族等の方への労災保険給付は、全ての就業先の賃金額を合算した額を基礎として、保険給付額を決定されるようになります。

厚政労働省HP

労災保険給付額は、就業している事業場の平均賃金を基礎に算定された給付基礎日額により決定します。平均賃金は、原則、算定事由発生日から前3ヶ月間に支払われた賃金(賃金締切日がある場合は、直近の賃金締切日から前3ヶ月間)を基礎に算定されます。複数事業労働者の場合も、その原則は変わりません。傷病等の発生日が算定事由発生日となり、その前3ヶ月間に支払われた各事業場の賃金額を基礎に給付基礎日額が算定され、労災保険給付額が決定されます。

また、けがや病気が発生したときに、事業主が同一でない複数の事業場で就業している方が対象ですが、けがや病気の原因の発生時に事業主が同一でない複数の事業場で就業していた方も対象となります。

この場合、災害発生事業場等以外の事業場(以下「非災害発生事業場」という。)については離職していない場合であっても、災害発生事業場等を既に離職している場合には、その離職日から前3ヶ月間に支払われた各事業場の賃金額を基礎に給付基礎日額が算定されます。

一方、算定事由発生日において非災害発生事業場を既に離職している場合は、算定事由発生日から前3ヶ月間に一部期間しか就業期間はありませんが、その一部期間に支払われた賃金額を基に算定します。

最後に、災害発生事業場等を既に離職している場合で、非災害発生事業場も災害発生事業場等の離職日において既に離職している場合は、災害発生事業場等の離職日から前3ヶ月間に支払われた賃金を基に給付基礎日額が算定されますが、非災害発生事業場を災害発生事業場等の離職日において既に離職している場合は、災害発生事業場等の離職日から前3ヶ月間に一部期間しか就業期間がないため、その一部期間に支払われた賃金額を基に算定します。

お問い合わせはお気軽に。043-245-2288

参考リンク

複数事業労働者への労災保険給付(厚生労働省HP,PDF)