今回は、「人事労務に関する最古ニュース」として、昭和2年2月10日保理第658号「昭和二年一月二十九日付旭給第一八四号ヲ以テ伺出相成候標記ノ件左ノ通ニ有之」について紹介します。なお、今回紹介する通達が有効であることを補償するものではありません。
同通達では、「任意継続被保険者ニ対シテハ強制被保険者ト同様業務外ノ傷病ニ対シテハ療養ノ給付セラルルヘキハ可然義卜存セラレ候モ斯ノ如キ場合ニ於テハ傷病手当金ハ之ヲ支給スヘキ義ニ候哉果シテ然リトセハ規則第五十七条第二項第一号事業主ノ証明ハ是ヲ得ルニ由ナキモノト相成へクト存セラレ候モ如何ノモノニ候哉」との旭川健康保険署長の社会局保険部長あてに発出された疑義に回答するものです。その内容は、任意継続被保険者に対して傷病手当金は支給されるのか、支給される場合、事業主の証明は必要かどうかを確認するものです。また、資格喪失後の出産手当金の請求について事業主の証明が必要かどうかについてもあわせて質問しています。
現行法では、傷病手当金・出産手当金は、任意継続被保険者には支給されませんが、資格喪失後の継続給付に該当する場合には、任意継続被保険者であっても傷病手当金・出産手当金を受けることができるとされています。
社会部保険局長の回答は、任意継続被保険者に関する部分は、上記の通り現行法とは異なる点ですので省略しますが、退職後の傷病手当金の支給について、「資格喪失後傷病ニ関スル給付ヲ受クル者ニ付テモ右ノ証明書ハ添附スルノ必要ナキモノトス」として、事業主の証明は不要であるとしました。なお、出産手当金についても同様とされています。
現行法でも、退職後の傷病手当金支給申請書についても事業主の証明は不要とされており、本通達の趣旨は今につながるものといえます。
参考リンク
法第二十条ノ規定ニ依ル被保険者及被保険者ノ資格ヲ喪失シタル者ニ対スル傷病手当金及出産手当金ニ関スル件(厚生労働省HP)