株式会社東京商工リサーチが「2024年 企業の「人材確保・退職代行」に関するアンケート調査」を公開しました。
この中で、特にこの春ニュース等でも取り上げられることの多かった、「退職代行」業者から実際に退職の連絡があった企業はどのくらいの割合だったのでしょうか。本調査結果によれば、「退職代行を活用した従業員の退職があった」企業は9.3%(479社)と約1割にのぼったことがわかりました。
このように「退職代行」は、さまざまな問題点を指摘する声はあるものの、徐々に定着しつつあるのが現状といえるでしょう。
なお、東京都では東京都労働相談の状況(労働相談及びあっせんの概要)を公開しており、その中では、「退職代行」を利用したことによる相談事案も掲載されています。
〇内 容
相談者は、不動産会社の正社員。退職を決意したが、社長に直接退職の意思を示すと、何を言われるか分からない不安から、インターネットで探した退職手続きを代行する会社に勤務先とのやり取りを依頼し、自身では一切の連絡をしないまま、勤務先を退職した。その後、退職関係書類が届かないことから、退職代行会社に解決を求めたものの、退職代行会社からは、非弁活動(※弁護士資格を有しない者が、報酬を得る目的で法律事件に関して代理等を行うことは弁護士法第72条に違反する。)に当たるおそれがあるため、交渉は一切行うことができないとの回答があったことから、来所相談に至った。
〇あっせん結果
センターが会社から事情を聴いたところ、退職代行会社からの連絡があっただけであるため、退職の意思が真実かどうか確認をしたいが、退職代行会社から本人に連絡するなとの指示があり困っていたとの回答があった。そこで、センターから、相談者の相談内容の概要を説明したところ、会社からは、中立的な行政機関からの連絡であれば納得することができるとの態度に変化した。その後、会社から相談者に、源泉徴収票、雇用保険·社会保険関係書類が直接郵送され、解決した。
数が増えることによって、今後は退職代行をめぐるトラブルも増加することも考えられます。会社としては、本人確認を慎重に行うことが大切です。
「退職代行」業者から連絡、大企業の約2割が経験 人材確保に「賃上げ」、「休日増」などで対抗(東京商工リサーチHP)